2010年、フォルクスワーゲン トゥアレグとポルシェ カイエンがともに新型へと世代交代っしたが、それに合わせて血縁関係のあるアウディQ7にも改良の手が加えられた。その目玉となったのが、パワートレーン系の一新。Motor Magazine誌ではその進化に注目し、ドイツ・ミュンヘンからアウディ本社のあるインゴルシュタットまで、その新しいガソリンエンジンモデル「Q7 3.0TFSIクワトロ」の試乗テストを行っている。今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年7月号より)

ガソリンエンジンを従来の3.6 V6と4.2 V8を3L V6 SCに一本化

今回の改良ではパワートレーンに大きな変更が加えられたが、まずもっとも注目すべきは、日本市場にはあまり関係ないが、ディーゼルの3.0TDIエンジンが新たに設計し直されたことだ。その燃費は20%近く向上し、CO2排出量も195g/kmへと減少している。

画像: 特別なスポーツエンジンを除き、これからは小さめの排気量に過給器を組み合わせたエンジンが主流を占めていくのだろう。

特別なスポーツエンジンを除き、これからは小さめの排気量に過給器を組み合わせたエンジンが主流を占めていくのだろう。

もっともこの燃費改善には、新採用のアイシンAW製の8速ATによるところも多い。トルクコンバーター式とは思えないほどの高い効率と同時に、オートスタート&ストップ(アイドリングストップ)機能も備えているのである。

ガソリンエンジンには大きなダウンサイジングの波が押し寄せた。3L V6の3.0TFSIに統一されたのだ。スーパーチャージャーを備えたこのV6エンジンは2種類のチューニングが用意される。

ソフトバージョンは最高出力272ps、最大トルクは400Nm。車重2.4トンを超えるQ7をスタートから100km/hまで7.9秒、最高速度は222km/hにまで引っ張り上げる。アダプティブエアサスペンション装着車では車体が低くなり、空気抵抗が減少するので最高速は225km/hにまで伸びる。

パワフルバージョンはS4やS5でおなじみの333ps、440Nmのスポーツチューンで、0→100km/h加速は6.9秒、最高速度は243km/h(エアサスペンション仕様は245km/h)となる。

ダウンサイジングされた両エンジンはともに燃費に優れ、アウディの発表によればEU準拠の総合モードで100kmあたり10.7L(およそ9.4km/L)となる。従来の3.6 V6 FSIに比べると約12%、4.2 V8 FSIからは約16%も燃費が向上している。

ミュンヘン空港からおよそ100kmほどのインゴルシュタットに位置するアウディ本社へと向かったのは、333ps仕様の3.0TFSIを搭載するガソリン最強モデル。

V8サウンドが聞こえなかったのがやや寂しかっただけで、アウトバーンの高速域でもとくにアンダーパワーな感じなどは受けなかった。

それ以上に、アイシンAW製8速ATのスムーズさの方がずっと印象的であった。このトランスミッションの素晴らしい点は、やはりアイドリングストップを可能としていることだ。街中で、ボディの大きなSUVが信号待ちをしている時の気まずさはこれで解消するはずで、ひょっとするとこのためだけでQ7のセールスは向上するかもしれない。

ドイツでの価格は6万2800ユーロ(約755万円)で、価格も4.2FSIのV8モデルと比べて6400ユーロ(約77万円)もダウンサイジングされている。(文:木村好宏)

アウディ Q7 3.0TFSIクワトロ主要諸元

●全長×全幅×全高:5090×1985×1740mm
●ホイールベース:3000mm
●エンジン:V6DOHCスーパーチャージャー
●排気量:2995cc
●最高出力:333ps/5500-6500rpm
●最大トルク:440Nm/2900-5300rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●最高速:243km/h
●0→100km/h加速:6.9秒
※EU準拠 

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