アッパーグレード、そして4WDに人気が集中
三菱 デリカにはじめてできた弟、軽自動車でスーパーハイトワゴンで、そしてSUVである「デリカミニ」。予約受付を開始した2023年1月13日から発売前日の5月24日までに、約1万6000台もの注文があったという。
予約注文の内訳を覗いてみると、ステアリングヒーターや電動両側スライドドア、先進運転支援システム(ADAS)マイパイロットなど、標準装備を充実させた「プレミアム」系グレードが90%を占めている。レーダークルーズコントロールの需要が高いことや、13〜20万円という価格差もプレミアム人気を押し上げた要因ではないだろうか。
そしてもうひとつ、デリカ兄弟らしい特徴と言えるのが駆動方式の比率だ。三菱のeKシリーズを含めて一般的な軽自動車は2WD:70%、4WD:30%で構成されるが、デリカミニにいたっては約60%が4WDなのだ。三菱らしい力強いデザインと広い室内空間などというコンセプトが、アウトドアレジャーを趣味とするアクティブなヤングファミリーに刺さったと考えられるが、4WD比率を高めた理由はまだあるという。
タイヤの外径を大きくしたことのメリット
それが4WD専用チューンであり、販売現場でのアピールポイントになっているのだ。
三菱にはノックダウン生産したジープに始まって、ラリーで活躍したコルトやランサー、パジェロ、デリカなどとオフロードの系譜が脈々と続いており、こうした技術やブランド力は現代において三菱らしい個性や付加価値として息づいている。この技術を活かしてデリカミニのブランド力をより個性的な方向へ高めるため、4WDモデルに専用のセッティングを施されたのだ。
プロペラシャフトを介した4WDモデルはリアデファレンシャルを搭載するため一般的に全高を高く設定される。デリカミニも同様に、主要諸元で全高を見てみると4WDモデルは1830mmで、2WDモデルより30mm高いことになっているが、この差のうち10mm(実際には8mm)はタイヤの大径化によるものだ。
プレミアムグレードで比較すると、ホイールサイズは15インチで同じだがタイヤの扁平率を高めて165/60R15(2WDは165/55R15)とすることでタイヤは分厚くなり、クッション性が増して乗り心地良く、さらに接地面積も前後方向へ若干拡大してオン・オフロードでの走行性能は高まる。
今回の試乗したのはこの4WDで、走り出してすぐ快適性の高さは実感できる。舗装路では路面の凹凸を踏んだときの突き上げ感が柔らかに感じられるだけではなく、振動とともに伝わってくるドッと」いう音もタイヤの減衰力に吸収されて静粛性も高まっているようだ。