2016年に誕生し、2020年のフェイスリフトされたBMW5シリーズ(G30型)がフルモデルチェンジを受けた。この新型にはICEとPHEVのほかに、新しくBEVのi5が設定されている。今回、そのプロトタイプのハンドルを握る機会を得た。(Motor Magazine2023年7月号より)

システム出力598ps。シャシは新設計の電子制御バージョン

8世代目の5シリーズ(G60)は、写真のようにキープコンセプトデザインながら、ボディサイズは全長5060mm、全幅1900mm、全高1515mm、そしてホイールベースは2995mmになり、ひとまわり大きくなった。プラットフォームは相変わらず、ICEやPHEV、そしてBEV併用のCLAR(後輪駆動クラスターアーキテクチャー)を使用している。

画像: BMWのニューモデルに共通する光るキドニーグリルを採用。

BMWのニューモデルに共通する光るキドニーグリルを採用。

南フランスのBMWプルービンググランドに現れた試乗モデルは全身をカモフラージュされたi5 M60 xDriveで、前後のモーターによるシステム出力は598ps。まずは敷地内のハンドリングコースでウォームアップを行う。

インテリアにも偽装カバーが掛けられていたが、ドライバーの正面には湾曲して広がるカーブドスクリーンを搭載していた。

テストコースを出て一般道路へ入り、ドライブペダルを踏み込むと、思わず頬が緩むほどの加速感が身体をシートに押し付ける。ドライブフィールはダイナミズムと快適さを高次元でバランスさせたもので、文字どおり3シリーズと7シリーズの中間というレベルで、いいところを併せ持っている。

それを実現しているのがアンチロールコントロールや4WSシステムなど新設計の電子制御シャシだ。まったく新しいロジックを与えられたこのシステムは、起伏に富んだフランスの一般道路で、大きなうねりを持った路面での車体の動き、揺れの収拾が自然にぴたりと収まることで体感できた。おそらく床下に搭載されたバッテリーによって重心が下がった結果、乗り心地が改善されたのだろう。

新型5シリーズは、ADASも進化している。テストしたi5には8メガピクセルのカメラと300mの範囲を把握するレーダーからなる最新の監視アシストシステムが搭載されており、とくに進化したハイウェイアシストでは条件が揃えば手放し運転はもちろん、視線移動、すなわちドライバーがドアミラーに顔を向けることで自動追い越しも行うことが可能だ。

短い時間の試乗ではあったがニュー5シリーズは、これまでのビジネスサルーンに新たな価値を提供することになるに違いない。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

画像: インテリアは、カーブドスクリーンを採用。ADASも長足の進歩をみせ、条件が整えば手放し運転も可能だ。

インテリアは、カーブドスクリーンを採用。ADASも長足の進歩をみせ、条件が整えば手放し運転も可能だ。

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