1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、ジャガー XJ220だ。

ジャガー XJ220(JAGUAR XJ220:1992-1998)

画像: リトラクタブル式ヘッドランプのカバーは垂直方向に下がることで4灯式ヘッドランプが露出する。

リトラクタブル式ヘッドランプのカバーは垂直方向に下がることで4灯式ヘッドランプが露出する。

ジャガーは1988年のバーミンガム モーターショーで、オリジナルのスーパースポーツカー、「XJ220」のプロトタイプを発表した。XJはジャガー車のシリーズに用いられている名称であり、220は目標最高速が220mph(時速220マイル=約354km/h)であったことに由来する。

1960年代にル・マン24時間レース制覇を目指して開発された幻のレーシング プロトタイプ「XJ13」をオマージュしたと言われる空力性能を重視したボディが特徴的だ。これに500psを発生するジャガー伝統の6L V12 DOHCを縦置きミッドシップに搭載。駆動方式は4WDという魅力的なパッケージにオファーが殺到した。

だが、V12 DOHC+4WDというパワートレーンでは重量やコストなどの制約もあり、目標の220mphを達成するのは不可能と思われた。そこでエンジンはル・マン24時間などで活躍したグループCマシンのXJR-10に搭載されていた3.5LのV6 DOHCツインターボに変更し、4WDも断念して駆動方式はRWDとなった。それでも最高出力は550ps、最大トルクは65.4kgmを発生し、5速MTのトランスミッションを介して最高時速は216マイル(約348km/h)に達した。

大柄なボディに、リトラクタブル式ヘッドランプやグラストップを採用し、インテリアにはコノリーレザーを多用してラグジュアリー感を演出し、ジャガーならではの世界観を構築している。スーパーカーといえども、オンロードを走る以上は快適性も必要である、という高級車メーカーのジャガーらしい信念を感じさせた。

市販モデルは1991年の東京モーターショーでワールドプレミアされ、翌1992年から販売された。価格は29万ポンド(当時のレートで約6900万円)。限定台数は車名にちなんで220台の予定だったが、バブル景気の影響でオーダーが殺到し、350台に増車された。だが、実際に売れたのは280台ほどで、日本へは正規輸入はされなかったという。

画像: 空力性能を重視したボディのアンダーフロアは、グランドエフェクト構造になっていた。

空力性能を重視したボディのアンダーフロアは、グランドエフェクト構造になっていた。

ジャガー XJ220 主要諸元

●全長×全幅×全高:4930×2220×1150mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:60度V6 DOHCツインターボ
●総排気量:3498cc
●最高出力:550ps/7000rpm
●最大トルク:65.4kgm/4500rpm
●燃料:無鉛プレミアム
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前245/45ZR17、後345/30ZR18

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