ジープブランド初のBEV専用車アベンジャーは、ジープのラインナップの中で最小サイズながら、 eCMPプラットフォームによる高い実用性とジープに相応しい走破性を備えたコンパクトSUVである今回、スペインのマラガで開催された試乗会でこの電動SUVの真価を確かめた。(Motor Magazine 2023年7月号より)

ドライバビリティは軽快。「普段着感覚」で乗りこなしたい

ダッシュボードにあるセレクトスイッチのDをプッシュしてスタート。空車重量約1.6トンのボディに与えられたパワーは数字上ではそこそこだが、立ち上がりの鋭い電気モーターのトルクのお陰で発進はクイックで、スペインの高速道路における法定速度110km /hにすぐに到達した。

画像: レネゲードと同じく、ジェリー缶をモチーフにした“X”のシグネチャーライトを採用。

レネゲードと同じく、ジェリー缶をモチーフにした“X”のシグネチャーライトを採用。

乗り心地はフランス車風のソフトなクッションのシートのおかげで快適である。一方で軽い操作感のハンドルがちょっと気になるが、コーナーではしっかりと路面感覚を失うことなくラインをトレースできた。ただしちょっとオーバースピードでは早めにESPが介入するが、その作動は穏やかなので安心感がある。

ところでジープブランドでありながらアベンジャーの駆動系はFWDのみ。ただし、短い前後のオーバーハングと200mmの最低地上高によってアプローチアングルは20度、デパーチャーアングルは32度。さらにアンチスリップコントロールや雪や砂地向けなど3種類のドライブモードでオフロードへのポテンシャルも隠し持っている。

一方、後席での居住性も試したが、170cmの身長であれば3人が座ってのドライブも問題ない。またラゲッジルーム容量は5名乗車時で355Lとファミリーのショッピングはもちろんショートツアーにも十分であろう。

冒頭に述べたようにアベンジャーはアメリカンブランドをヨーロッパの地で育ませた国際商品である。ゆえにBEVとしてはジーンズのように、奇をてらわず実用的でフレキシブル、普段着のような魅力がある。

日本でも人気を得る要素を十分に持っているが、問題は価格で、テストしたファーストエディションはドイツで3万9900ユーロ。円安の影響もあってなんと日本円では590万円を超えてしまう。ただし、こうしたBEVを日本メーカーはもっと検討した方がいいと思う。(文:トーマス・ガイガー<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)

ジープ アベンジャー サミット主要諸元

●全長×全幅×全高:4080×1780×1530mm
●ホイールベース:2562mm
●車両重量:1595kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:115kW(156ps)
●モーター最大トルク:260Nm
●バッテリー総電力量:51kWh
●一充電航続距離:38.4ー408km
●駆動方式:FWD

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