この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第4回目は、クラウンで乗用車時代の先鞭を切ったトヨタが昭和32(1957)年世に送り出した「トヨペット・コロナ」だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

戦後のタクシー需要の高まりの中で登場したトヨペット・コロナ

画像: ボディはセミモノコック構造となった。これは関東自動車工業が研究開発を行ったものだった。

ボディはセミモノコック構造となった。これは関東自動車工業が研究開発を行ったものだった。

コロナはトヨタの代表的セダンで、その名前はこの初代トヨペット・コロナ誕生の昭和32(1957)年から平成13(2001)年まで続いた歴史あるモデルでもある。デビューの背景を解説すると1950年代なかば、日本の乗用車市場で大きな需要を占めていたのはタクシー業界だった。1500ccクラスの中型タクシーはクラウンが抑えていたが、1000cc以下の小型タクシーはニッサンのダットサン110/210型の独壇場だった。そこにトヨタとしては対策が必要だった。

画像: 搭載されたのはS型エンジン。トヨエースに搭載されたものを改良し、圧縮比を上げることにより30psから33psにパワーアップした。

搭載されたのはS型エンジン。トヨエースに搭載されたものを改良し、圧縮比を上げることにより30psから33psにパワーアップした。

トヨペット コロナは、このダットサンを仮想敵として登場したモデルだ。開発を急いだために、基本的にはすでにあるコンポーネントを集めて作られた。4人乗り4ドアセダンで、車体構造はフロアをサイドメンバー、フロントメンバー及びリアホイールハウジングなどと一体で作り、その上にモノコックによる上部のボディを乗せて溶接するセミモノコック形式を採用したのは独自の点だ。

エンジンは旧式のサイドバルブながら改良で33psを発生

エンジンは、小型トラックのトヨエースのS型エンジンをパワーアップしたもの。スペック的には995cc、水冷直4のサイドバルブで、ピストンの高さを0.5mm上げて圧縮比を高め、30psから33psとした。サスペンションはクラウンで好評だったダブルウイッシュボーンを前輪に、3枚リーフスプリングを用いたリジッド式を後輪に使用した。そういう意味では、新設計だったクラウンに比べると急ごしらえという感は否めなかった。

画像: インパネはシンプル。長方形のメーターパネルの中にはスピードメーターのみ。ベンチシートでシフトレバーはコラム。

インパネはシンプル。長方形のメーターパネルの中にはスピードメーターのみ。ベンチシートでシフトレバーはコラム。

 昭和34(1959)年にマイナーチェンジして、エンジンがP型に進化した。このエンジンは997ccの直4OHVとし、最高出力は43psで、S型エンジンから12psの大幅パワーアップとなった。乗車定員は5名となった。

トヨペット・コロナ主要諸元

●全長×全幅×全高:3912×1470×1518mm
●ホイールベース:2400mm
●重量:960kg
●エンジン型式・種類:S型・直4 SV
●排気量:995cc
●最高出力:33ps/4500rpm
●最大トルク:―kgm/ーrpm
●トランスミッション:3速コラムMT
●タイヤサイズ:5.60-14 4PR
●新車価格:64万8500円

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