日本市場で好調なルノーについては、当Webモーターマガジンでも紹介したが、その要因のひとつである独自のハイブリッド「E-TECH フルハイブリッド」を搭載したルーテシア、アルカナ、そしてキャプチャーの試乗会に参加した。3台の違いと共通点を探ってみたい。(文:鈴木ケンイチ)

上質で上品、しかもスポーティな雰囲気のアルカナ

画像: アルカナはオプションのボディダンパーを装着して、以前に試乗したものより走りが洗練されていた。

アルカナはオプションのボディダンパーを装着して、以前に試乗したものより走りが洗練されていた。

続いてアルカナ。こちらも2023年5月に新設定された「E-TECH エンジニアード」だ。いままでの「R.S.ライン」に代わるグレードで、ブリリアントブラックやウオームチタニウムのアクセントが上質感とエレガントさを感じさせるモデルだ。

パワートレーンは基本的にルーテシアのE-TECH ハイブリッドと同じだが、1.6L エンジンが94psと148Nmにパワーアップされている。それでも、2つのモーターのスペックは同じ。つまり、システムとしての差はエンジンで3psしかない。

実際に乗ってみると、スムーズではあるけれど、もうひとつパンチが欲しいかなと思えた。アルカナの方が微妙にパワフルではあるものの、車格が上がってクルマが大きく重くなった分、少しパワー不足に感じられた。

それでも、静粛性や快適性といった点では明らかにルーテシアよりも勝る。上質で上品、しかもスポーティなクーペSUVという、なかなか洒落たクルマだ。また、2022年のデビュー時に試乗したときよりもボディの振動が抑えられていた。じつは今回の試乗車には新オプションであるボディダンパーが装着されており、これが快適性アップに大きく貢献していたようだ。

ルノー アルカナ E-TECH エンジニアード 主要諸元

●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1597cc
●エンジン最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
●エンジン最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3600rpm
●メインモーター最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm
●メインモーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200−1677rpm
●サブモーター最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm
●サブモーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200-2865rpm
●トランスミッション:4速AT(エンジン側)+2速AT(モーター側)
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:22.8km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):469万円

サイズもパワー感も中間的で最適なキャプチャー

画像: 日本仕様のルノー車では3番目にE-TECH フルハイブリッドが投入されたキャプチャー。

日本仕様のルノー車では3番目にE-TECH フルハイブリッドが投入されたキャプチャー。

短時間だが、キャプチャーも試乗できた。こちらのE-TECH フルハイブリッドはアルカナと同じパワースペックだ。サイズ感はルーテシアとアルカナの中間くらい。全高はアルカナと同等だが、全幅がナローなこともあってか、キャプチャーの方が乗車時の目線は高く感じられた。

幅と高さの比率として感じる取り回しの印象は、一般的なSUV風。サイズ的にも扱いやすいクルマだ。パワー感は、ルーテシアほどパワフルではなく、アルカナほど不足感はない。まさにジャスト。中間のサイズとなるキャプチャーが、最適なパワー感だった。

3モデルを乗り比べて思ったのは、コンパクトハッチバックのルーテシア、クーペSUVのアルカナ、そしてコンパクトSUVのキャプチャーというタイプとサイズ感の違いはあるものの、根底にあるフィーリングは似ているなということ。パワートレーンが同じということもあるけれど、ハンドリングや乗り心地といった部分に共通点が感じられた。

いずれも足まわりはシャキッとしている。それでいて硬すぎず、不快さギリギリの手前に納められる。前後のピッチングは少なく、フラットな姿勢を保とうとしている。ステアリングの中間の微小舵は、わりと緩めだが直進性は悪くない。全体にスポーティなのだがスムーズで角を丸めたような動きをする。汗臭くない、上品なスポーティさが感じられる。スポーティさとコンフォートのバランスが絶妙だ。

パワートレーンのE-TECH フルハイブリッドも、同じような絶妙な塩梅のスポーティさのあるパワートレーンだ。ダイレクト感があってスポーティだが、スムーズでマニュアルモードやパドルシフトはない。本気のスポーツではないのだ。そういう意味で、この3モデルとE-TECH フルハイブリッドは、同じベクトルを指向している。

このシャシとパワートレーンのそれぞれの個性が生み出す乗り味こそが、今のルノーの味ということだろう。そして、その乗り味が今のルノーの好調さの理由のひとつになっていることは間違いなさそうだ。(写真:Webモーターマガジン編集部)

ルノー キャプチャー E-TECH フルハイブリッド 主要諸元

●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1420kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1597cc
●エンジン最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
●エンジン最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3600rpm
●メインモーター最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm
●メインモーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200−1677rpm
●サブモーター最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm
●サブモーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200-2865rpm
●トランスミッション:4速AT(エンジン側)+2速AT(モーター側)
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・48L
●WLTCモード燃費:22.8km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):374万円

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