この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第7回目は、フルモノコックボディと4独サス、「人間優先」の設計思想で、軽自動車の革命を起こした「スバル360」だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

フロントバンパーは分割型から一本物に。トランスミッションも変更した。

新型スバル360を見分ける外観のポイントは左右2分割型から1本になったフロントバンパーで、内装は厚くなった前後シートクッションと後席のベンチシート化である(「60年後期型」で実施)。2ストロークの直2エンジンこそ変わらないが、メインベアリングを強化し、ピストン及び燃焼室形状を改良して耐久性を向上。最高出力も2psアップの18psとなった(「60年前期型」で実施)。

組み合わされるトランスミッションは2-3速に懸案だったシンクロ機構が付き、シフトパターンも標準的な縦H型(左上が後退/左下が1速/右上が2速/右下が3速)に改良されている(「60年後期型」で実
施)。その結果、操作性が高まり、加速性能の向上につながった。以前から360ccとは思えない加
速性能の評価は高かったが、改良型は0→80km/hを21.0秒(2名乗車時)で走り、さらに常用域の0→60km/h加速では従来型より1.1秒も速い14.2秒を計測してシンクロ採用による効果を見せつけている。公称最高速も83km/hから90km/hに向上している(「61年前期型」)。

画像: 昭和39年5月に鈴鹿サーキットで開催された第2回日本グランプリ。T-1クラス(400cc以下クラス)で1-2フィニッシュを飾ったのはスバル360だった。他車に大差をつけた圧勝だった。

昭和39年5月に鈴鹿サーキットで開催された第2回日本グランプリ。T-1クラス(400cc以下クラス)で1-2フィニッシュを飾ったのはスバル360だった。他車に大差をつけた圧勝だった。

足回りは前後トレーリングアーム/トーションバー(リアはスライドスプラインを持たないためスイングアクスル)だが、ショックアブソーバをテレスコピック式オイルダンパーに変更したことで大きい波状の凹凸を高速で乗り越える時のピッチングが抑えられると同時に、「ロードホールディングに優れ、ホイールベース1800mmの軽乗用車としては驚くほど高い平均速度を維持できる(モーターマガジン誌・昭和35(1960)年5月号)」と高速安定性の向上も確認された。

スバル360はランニングチェンジで進化を続け、昭和45(1970)年まで生産されるロングセラーモデルとなった。

スバル360主要諸元

●全長×全幅×全高:2995×1300×1360mm
●ホイールベース:1800mm
●重量:385kg
●エンジン型式・種類:EK32型・2サイクル直2
●排気量:356cc
●最高出力:18ps/4700rpm
●最大トルク:3.2kgm/3200rpm
●トランスミッション:3速MT
●タイヤサイズ:4.50-10 2PR
●新車価格:39万8000円

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