スバルの新世代グローバルモデルとして登場したクロストレック。今回はAWDとFWDの2モデルで、東京から暑さも和らぐ高原を目指し、その長距離ドライブで2台の走りをチェックしてみた。(Motor Magazine2023年9月号より)

新開発のシートに座れば、理想のポジションが取れる

スバルクロストレックで駆け抜けた2泊3日の走行距離は約700km。このドライブでクロストレックが「ロングツアラー」と呼ぶのにふさわしい実力の持ち主であることを改めて体感した。

画像: 7インチタイヤ装着のツーリングFWDでも気持ち良くワインディングロードを駆け抜ける。

7インチタイヤ装着のツーリングFWDでも気持ち良くワインディングロードを駆け抜ける。

今回、都内と信州を繋ぐ往復に高速道路を利用するも、それ以外はすべて一般道。それも所々で市街地を抜けながら、八ヶ岳から車山、蓼科、万座から菅平を抜け、湯田中、小布施へとダイナミックな山間を縦走し、巡ったのだった。

ツアーの相棒はオアシスブルーのクロストレックリ ミテッドAWD(4WD)とマグネタイトグレーメタリックの同ツーリングFWD(FF)モデルの2台。

このクルマは先代の「XV」から世界共通の「クロストレック」に改名したスバルの新世代のミディアムサイズSUVである。新型レヴォーグから始まったスバルグローバルプラットフォーム(SGP)は、このクロストレックにも採用される。

高剛性技術が採り入れられ、2L水平対向4気筒エンジンとモーターを組み合わせたe-BOXERやリニアトロニック(CVT)の進化による、動的質感の向上も図られているのが特徴だ。さらにスバルと言えばAWDというイメージがあるが、今回、e-BOXERとFWDを組み合わせたモデルも初めて登場している。

FWDが価格優先のモデルだと思ったならとんでもない。AWDモデルは安定感とハンドリングの正確さが頼もしく感じられるドイツ車のようで、FWDモデルは運動性能に優れるフランス車のようだった。

新開発のシートに座れば、理想のポジションが取れる

クロストレックのために新開発されたシートは座面に深く腰掛けると、自然と骨盤が起きて背筋まで伸びるような姿勢が取りやすい。私のような小柄な女性でも理想のポジションに合わせられるため、腰をいたわり、頭の揺れも軽減されサポート性にも優れる。女性が正しい姿勢で運転する姿は凜々しく映えるに違いない。

画像: 機能性に富むインテリア。11.6チンチのセンターインフォメーションディスプレイは車両制御や走行アシストの設定も可能。

機能性に富むインテリア。11.6チンチのセンターインフォメーションディスプレイは車両制御や走行アシストの設定も可能。

また乗り心地に影響を与えるという特定の「音」を抑制するためにルーフの共振音の収束性も向上させている。結果的に後席の静粛性や快適さも向上する。子供などが後席に座っていても会話がしやすいだろう。今回のロングドライブが疲れ知らずだったのは、こうしたシートの恩恵も大いにあるだろう。

また水平基調で包み込むようにデザインされたインパネまわりは視界もスッキリ。Aピラーとドアミラーが作る物理的な死角が少なく隅々まで視界に配慮されている。デザイン的にも水平や車幅間隔が得やすく、路肩や白線との位置把握やコーナリングの際も死角が減り、ワインディングドライブもより安全に楽しみやすい。

安全な視覚という点ではアイサイトセイフティプラスに装備されるカメラ画像も心強い。フロント、リア、サイドに装着されたつのカメラで車両周囲の死角になるエリア画像を映し出してくれる。

久しぶりのビーナスラインは高原の草花と青い空がなんとも爽やかだった。そのなかを縫うように続くアスファルト。灰色のカーブが美しく映え、空へ向かうように駆け上がるドライブの気持ち良さは格別だった。

搭載するe-BOXERは発進や加速時はモーターがアシスト。街中や追い越し加速などあらゆるシーンで十分な動力性能が得られる。登坂路で頻繁にエンジンの高回転領域を必要とするような場面でも、以前に比べ音や振動も軽減されているので、初夏の景色を見ながらゆっくりとドライブを楽しむような場面でもストレスはない。

レスポンス性も優れるリニアトロニックがリズミカルなドライブを可能にするが、アップダウンが続くワインディングロードでは「SI-DRIVE」のスポーツモードを試してほしい。ペダル操作に対するレスポンスの向上のみならず、クルマがスポーティな走行をしていると判断するとコーナリング中も高いエンジン回転を維持。コーナー脱出時にはモーターアシストも加わり、よりダイレクトな走りに加え、クルマとの一体感とともに楽しめる。

安心感ある走りのAWDしなやかで軽快なFWD

リミテッドAWDは状況に応じて常時、前後輪に最適なトルク配分を行う「アクティブトルクスプリットAWD」を採用している。直進安定性に優れ、コーナリングも得意とする4WDだ。4輪の接地感を常に意識できる安心感のある走りと適度な重さを持つ操舵の気持ち良さが両立されている。

画像: エンジンは145ps、188Nmを発生するNAの2L水平対向4気筒に13.6ps、65Nmのモーターを組み合わせた「e-BOXER」を搭載。

エンジンは145ps、188Nmを発生するNAの2L水平対向4気筒に13.6ps、65Nmのモーターを組み合わせた「e-BOXER」を搭載。

アクティブトルクベクタリングも備わり、危険回避はもちろん、コーナリング時はVDCが内輪側にブレーキをかけることで相対的に外輪側の駆動力を大きくし、旋回性能を高めてくれるのだ。

ツーリングFWDは、ほど良くしなやかな動きを伴う足腰の軽快さが際立つ。コーナーに合わせて行う操舵に対する車両のレスポンスに優れ、気持ちいいくらいにノーズがよく入る。リアタイヤの接地性もいい。AWDのカッチリとした走りとは異なり、しなやかな軽快さを持ち合わせている。

蓼科では夏空の下、牧場に到着すると、隣接する牛乳専門店でソフトクリームを味わった。濃厚かつほどよい甘さは、糖分補給とリフレッシュ効果抜群だった。  

翌日は、蓼科から志賀高原を抜け、湯田中温泉を目指した。万座から志賀高原に抜けるのは何年ぶりだろう。

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