最も重要視される氷上性能だけではない、アイスガード7のコントロール性
スタッドレスタイヤの使命は言わずもがな、冬道を安全に走ることだ。とはいえ雪や氷だけでなく、ドライ路面もウエット路面もあるのが冬道で、夏タイヤよりも幅広い性能が要求されるタイヤとも言える。こうしたあらゆる路面で高水準の走行性能を発揮すると巷で評判のアイスガード7(以下iG70)を装着し、北海道・旭川にあるテストコースから市街地、山道までを試乗することができた。
空港からほど近い横浜ゴムの「北海道タイヤテストセンター」では、一般道の状況に近い雪道からアイスバーンなどさまざまな路面が用意されている。
その中でも2023年1月に稼働したばかりの新しい施設、屋内氷盤旋回試験場では名のとおり氷面上を周回できる。iG70に採用されているウルトラ吸水ゴムは氷上の水分を吸い取ることで粘り強いハンドリングを実現し、そしてしっかりとグリップしながらコーナリング状態を維持できた。
氷上性能を確認した後、205/55R16 91QサイズのiG70を装着したカローラツーリング(4WD)に乗り換え、一般道で大雪山国立公園の周辺まで足を伸ばして往復約100kmを走り回った。
山道に入ると周辺は雪深くなっているものの除雪が行き届いている。雪に効くエッジ量を増大させたiG70はアクセルペダルやブレーキペダル、ハンドルによるドライバーの指示どおりにクルマを動かしてくれた。コーナリング中のハンドル操作でタイヤのスリップアングルが大きくなっても、グリップが抜けることなく曲がろうとしてくれるので安心感が高い。
雪道を走っているのに、白銀の景色を楽しみながらドライブすることができるほどだ。
その一方で、交通量の多い一般道では轍もできやすく、そんなところでやむを得ず車線変更することもあるだろう。轍の山を乗り越えるときにトレッド部の端が引っかかってしまい、結果スピンに至るケースもある。しかしiG70は安定して駆動力を伝え、スムーズに乗り越えることができた。これはタイヤのショルダー部をなで肩のようにラウンドさせたデザインを採用しているからだろう。
そういえば毎冬、凍った湖の上で走行会を開催しているが、BMW M4のオーナーがいつもアイスガードを履いて、華麗なドリフトを披露していることを思い出した。限界を超えてもコントロールしやすい、それがiG70なのだ。(文:こもだきよし/写真:井上雅行)