7月下旬、アストンマーティンが誇る究極のSUV「DBX707」を存分に走らせることができるという稀有なサーキットイベントが猛暑の中、開催された。「最速、最強、最良のハンドリング」を謳うモデルならではの強烈な高性能と快適さを体感することで、抜群に優れたバランスの高さに心底、驚かされることとなった。(Motor Magazine 2023年10月号より)
強いGを感じるもスポーツシートがしっかり腰をホールド
試乗メニューは、インストラクターが先導する標準車DBXに3台のDBX707試乗車が追走しながらサーキットコースを3〜4周するというもの。これを、追走する順番を入れ替えながら3回、試乗した次の回には毎回、休憩が入る、というものであった。
SUVらしく、ドライビングポジションと視点は高い。ハンドル操作も、最初はおそるおそるという感覚で切り始めるが、すぐに「あ、この安心感なら大丈夫そうだ」と思えた。「第1コーナーを抜けたところからアクセルオンで行きます」と先導車。
一瞬、こちらの踏み込むタイミングが遅れ先導するDBXとの車間が開くものの、さすが707、すぐに追いつける。同じ4LのV8ツインターボエンジンだが、標準型のDBXより157ps/200Nmも最高出力/最大トルクで上回る力強さとその余裕は、圧倒的な魅力だ。
第2コーナーから直線を加速していき、コカコーラコーナー入り口で軽くブレーキング。車両重量は2310kgあるものの、標準装備のカーボンセラミックブレーキが踏力に応じた制動力を発揮してくれる。そこから、左のアウト側に膨らんでいかないように気をつけつつ、軽く右へ操舵しながらアクセルオンで100Rを抜けていく。
ここは強い横Gを感じるものの、スポーツシートが腰部をしっかりとホールドしてくれるのでドライビング姿勢が乱れない。スキール音を出さないよう、はやる気持ちを抑えながら走るが、実に快適だ。