完全な電動化に向けたロードマップのために
ボルボ・カーズ(以下、ボルボ)は、2030年までに電気自動車のみを販売するメーカーに転換しし、さらに2040年までにクライメート ニュートラルな企業になることを目指している。完全な電動化に向けたこの明確なロードマップは、歴史ある自動車メーカーの中でも最も意欲的な変革計画のひとつだ。
2022年11月、ボルボは残りの内燃エンジン資産のすべてを保有していた合弁会社Aurobay社の株式を売却した。そのため、ボルボはすでに新しい内燃エンジンの開発に一切の研究開発予算を費やしていない。そして、2024年初めまでにボルボの全ディーゼルエンジン搭載モデルの生産を終了することを発表。数カ月後に、最後のディーゼルエンジンを搭載したボルボ車が製造されることになる。
この決定は、気候変動の危機に直面して、自動車業界と顧客の求めるものがいかに急速に変化しているかを示している。ほんの4年ほど前まではボルボにとってディーゼルエンジンは、他の多くの自動車メーカーと同様に、欧州市場においてなくてはならない存在だった。実際、ボルボが2019年に欧州大陸で販売した車の大半はディーゼルエンジン搭載車で、電動化モデルはその地位をまだ確立し始めたばかりだった。
その後、市場の需要の変化、排出ガス規制の強化、そしてボルボの電動化への注力によって、この傾向はほぼ逆転した。現在、欧州での販売台数の大半は、完全な電気自動車またはプラグインハイブリッドのパワートレーンを搭載した電動車で占められている。
街中を走るディーゼル車の減少は、都市の大気環境にもポジティブな影響を与える。ディーゼルはガソリンエンジンよりもCO2の排出量が少ないものの、窒素酸化物(NOx)などの排出量が多く、特に市街地では大気環境に悪影響を及ぼすためだ。
日本市場においては、ボルボはすでにディーゼル車はラインナップからフェードアウトさせており、さらに全車種の電動化(ピュアEV、プラグインハイブリッド、48Vハイブリッドのいずれか)を完了している。今回のボルボの決断は、欧州の他メーカーにも大きな影響を与えることは間違いない。