2023年10月5日、本田技研工業はフルモデルチェンジした新型「N-BOX」を10月6日から発売すると発表した。“乗る人すべてに幸せな時間を提供する存在”を目指したという新型を、先代モデル(二代目N-BOX)と乗り比べて、その進化を確かめてみた。見た目は一見するとあまり変わっていないようにも見えるのだが、実は見た目も中身も大幅に進化していた。

ベーシックなNAエンジン搭載モデルから試乗

まずは自然吸気エンジンを搭載するベーシックモデルの比較試乗から行った。新型に搭載されるエンジンは2代目N-BOXと共通のS07B型。吸気バルブの制御にVTECとVTCを採用した直列3気筒DOHCで、最高出力は58ps、最大トルクは65Nmを発生している。このスペック自体に変更はないが、細部の制御を見直したことでより扱いやすくなり、WLTCモード燃費も21.6km/Lへと向上している。

画像: N-BOXの新型と二代目モデルの先行試乗会は、最初に二代目モデルを試乗してから新型を試乗するという方法で行われた。二代目も十分に良くできたクルマだが、新型と乗り比べるとその進化ぶりは予想以上に大きかった。

N-BOXの新型と二代目モデルの先行試乗会は、最初に二代目モデルを試乗してから新型を試乗するという方法で行われた。二代目も十分に良くできたクルマだが、新型と乗り比べるとその進化ぶりは予想以上に大きかった。

先代の自然吸気モデルから試乗すると、正直、これといって大きな不満もなく低速から高速域まで走り、コースを一周した。次に新型に乗り換えて走り出す。パワートレーンの変更がないので、劇的な変化は感じないだろうとたかをくくっていたら、乗り出してすぐにそのスムーズさに驚かされた。出だしからまったく違う。さらに速度を上げてエンジン回転数が上がっていっても静粛性が先代より高いことも体感できた。

今回のテストコースでは高速周回路で100km/hまで加速することができたのだが、先代モデルではアクセルペダルを強く踏み込んでキックダウンする際に息継ぎをするような感覚があったが、新型はキックダウン時の応答性が高く、しかもそこからアクセルペダルを戻した際のつながりもよりスムーズ。これはCVTの制御変更によるもので、意識せず普通に走っているだけでも、新型のなめらかな走りは十分に体感できるはずだ。

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また前述した静粛性の部分はルーフライニングの材質や種類を変更し、フロアパネルには遮音層フィルムを敷くなどして静粛性を高めているという。これは特にエンジン回転数や走行風の影響を受ける高速域で体感することができた。実際に後席に座る同乗者との会話時などは顕著に感じられるはず。

シャシは二代目をベースに改良し、乗り心地の向上と安心感のある操縦安定性を目指した。主に前後サスペンションの締結適正化やアライメントの適正化、電動パワーステアリングの舵角速度フィードバック制御といった改良である。一般道路を模したコースを走る限りでは、路面のうねりに対してもフラットライドで、柔らかめではあるが、ふわふわ感や不快な揺れはなかった。

ここでまたコースを1周してスタート地点に戻り、ギヤをPレンジに入れると、アイドリングストップ機能の進化に気付いた。これまでは駐車場で停車する際などブレーキを踏んでPレンジに入れると、一度アイドリングストップでエンジンが停止してもブレーキを離したタイミングで「ブルン」とエンジンが再始動してしまっていたのだが、新型ではそれがなくなっていた。些細なことだがこれは嬉しいポイントである。

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