ホンダ シビック タイプR(HONDA CIVIC TYPE R)
現行モデル発表日:2022年9月1日
車両価格:499万7300円

「エンジンのホンダ」だと再認識させられる官能性能

シビック タイプRの試乗はアウディ RS3 セダン、ルノー メガーヌR.S.トロフィーと比べてみたが、絶対的なパワー感では太刀打ちできなくても、エンジンの官能性でRS3を打ち破ってみせたのが、シビック タイプRだった。

画像: 「エンジンのホンダ」だと再認識させられる官能性能

330psを絞り出すこの2L 直4ターボエンジンが、どうしてここまで官能的なのか、うまく説明できる自信がない。それでも、エンジンの吹け上がりがシャープで、7000rpmのレブリミットまで軽々と吹け上がるのは間違いのないところ。その回転フィールに、ターボエンジン特有の重さが感じられない点に、官能性の秘密が隠されているのかもしれないと思った。

エキゾーストサウンドも絶品で、音量は小さめながら軽く抜けのいい音色はターボエンジンであることが信じられないほど。その雑味感のない澄んだ音色はとりわけ美しく、エンジン回転数の上昇に伴ってドライバーの鼓動まで速まっていくように感じられる。しかも、ゲートが正確で流れるようにシフトが決まるフィーリングがまた絶妙で、無駄にギアチェンジを繰り返したくなる。これほどストロークが短く、しかも「吸い込まれる」感覚が見事な前輪駆動モデルが、ほかにあっただろうか?

新型シビック タイプRはシャシも絶品で、絶対的なコーナリングパフォーマンスとともに「最後までコントロールが効く懐の深さ」が魅力だが、今回、初めて公道を走らせてみて、とある弱点に気づいてしまった。

一定の周期でボディが上下する路面の波打ちと車速の組み合わせになると、足まわりが共振を起こすのか、激しい上下動に見舞われることがある。この傾向はスポーツモードよりも+Rモードのほうが顕著だが、一度これが起きると激しい振動のせいで視界さえままならなくなるほど。もっとも、この状態でもロードホールディング性はいささかも損なわれないので危険とはいえないが、ドライバーのやる気が削がれてしまうのは事実。この点は要改善ポイントとして指摘しておきたい。ちなみに、ニュルブルクリンクのタイムアタックでは+Rモードではなくスポーツモードを用いたそうだ。

ワインディングロードでの速さと安定感という意味では、3台の中ではRS3がトップなのだが、日本メーカーらしい繊細な感覚で煮詰められたシャシとドライブトレーンの魅力では、シビック タイプRのほうが一枚上手。メガーヌR.S.はステアリングの反応がせわしいものの、ロードホールディング性と乗り心地の良さには光るものがある。コンパクトスポーツの解釈も、日独仏でそれぞれと言えそうだ。

ホンダ シビック タイプR 主要諸元

●エンジン:2L 直4DOHCターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:243kW(330ps)/6500rrpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2600-4000rpm
●駆動方式:横置きFF
●サスペンション形式:前ストラット、後トーションビーム
●タイヤサイズ:26/30ZR19
●車両価格:499万7300円

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