東京は巨大なロボタクシー市場になる
クルーズ・オリジンの詳しいスペックは公開されなかったが、GMの電気自動車用プラットフォーム「アルティウム」をベースに、ホンダがトップハット(上屋)を制作、自動運転領域の開発をクルーズ社が担う。またドライバーズシートやハンドルは設けられず、パッセンジャーシート6脚を対面で構成される。
実装に向けてはまず、GMのボルトをベースにした「クルーズAV」を使って、東京都内における自動運転レベル4の実証実験が行われる。一方、ドライバーズシートもハンドルもないクルーズ・オリジンは研究施設内(クローズドコース)での走行実験を続けられるのだという。
2023年4月1日の改正道路交通法施行によって自動運転レベル4が解禁されたとはいえ、一般的な乗用車とは構造が大きく異なるクルーズ・オリジンの型式認定をどう取得するのか、緩和規制を利用するのかなど、今後関連省庁との調整も行われる。
記者会見に登壇したクルーズ社の創業者でCEOのカイル・ヴォクト氏は、「タクシードライバーの人材不足が進む日本において、その中でも人口密度が高い東京はロボタクシーの大きなマーケットです。多くの人に安全で安心したアクセス手段を提供できることはインパクトになるはずです」と導入に向けての意気込みを話した。
ホンダの取締役代表執行役社長 三部敏宏氏は、「クルーズとGMとの協業による自動運転タクシーサービスを通じて、日本のお客様に新たな移動の価値を体験いただき、人々の移動の質を高め、移動の喜びを環境負荷ゼロで、さらにより安全に提供します。これは、先進モビリティ社会の実現に向けた大きな一歩です。この新しい価値創出の実現にむけ、クルーズとGMと邁進してまいります」と発表。
その上で、自動運転モビリティサービスを開始する地域にいくつもハードルがあるであろう東京を「あえて」選んだという。歩行者や自転車が多いだけでなく、近年では電動キックボードをはじめとする電動スマートモビリティも増えている首都で実装できれば、日本全国はもちろんのこと世界のあらゆる地域に対応・展開できる、そんな思いがあるのかもしれない。
クルーズ・オリジンは、2023年10月28日から11月5日に一般公開されるジャパンモビリティショー2023のホンダブースで展示される。