今週のついつい気になっちゃったこと「BEVじゃないJMS巡り」
東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー2023」も、5日(日)をもって閉幕。会場を訪れた皆さんは、楽しんでいただけたでしょうか?私は正直、事前に想像していたよりもずっと面白かった、と感じました。これ、本音です。
実は昨日(4日の土曜日)、今一度会場を訪れてみたのですが、位置的にはやや隅っこにある東7ホールのモータースポーツコーナーのすごい人だかりに、驚いてしまいました。東展示棟から西・南展示棟に向かうコンコースも、大変な混雑ぶり。のろのろとした流れにともにハマっていた若者が「ディズニー(ランド)より混んでるんじゃね?」と、ぼやいているのが笑えました。
さてショーはといえば、車両展示に関しては「電動化」というより、ピュアな電気自動車がこれでもかと言わんばかりに主役を張っていた印象。それでもコンセプトカー(もしくはプロトタイプカー)の中には、ハイブリッドを含めて内燃機関を搭載するモデルもちょっとだけ見かけられたのが正直、ハッピーでした。
「感性」度の高さでは、マツダのICONIC SPがダントツではないでしょうか。eフューエルで2ローターロータリーエンジンを動かして発電し、電気モーターで走ります。実質CO2排出量はゼロ、ということですから、周囲がみんなBEVになったとしても肩身は狭くありません。元FDオーナーだった身としては、できればコンバージョンキットを出してほしいくらいで。
かつてRX-7に積まれていた2ローターロータリーは、その回転フィーリングを「まるで電気モーターのようにスムーズ」と評されていましたが、本物の電気モーターとのコラボレーションで、どこまでエモーショナルなパワー感を味わわせてくれるんでしょうか。
一方、リアリティという視点ではホンダのプレリュード コンセプトが、近い将来の発売を予感させるデザイン的仕上がりで楽しませてくれました。パワートレーンはe:HEV(おそらくはシビックなどと同じもの)。そして、まだコンセプトカーではあるものの、EVではないICEの選択肢として興味深かったのが、ダイハツ「ビジョン コペン」でした。
合成燃料、バイオフューエルの普及もまた大切なのでは?
一見するとオープン2シーターのBEVスポーツのような洗練されたたたずまいでしたが、中身はフロントに1.3L(直3?)エンジンを搭載するFRモデルとのこと。こちらも合成燃料で実質カーボンニュートラルの実現を狙っているのだそうです。
牛糞から精製されるバイオガスで走行できる、バイ・フューエル仕様のスズキ ワゴンRも、実は内燃機関の明るい未来を実感させてくれそうな重要な1台でした。
インドの市場では、購入時は少しお値段が張るものの、バイオガスは燃料費が通常のガソリンに比べて安いので、とても人気があるのだそう。
平均速度がのんびりしている都市部はガスで走り、効率が高い高速走行時はガソリンで走るというのが、スタンダードな使い方なのだそうです。ブラジルのフレックス車(バイオエタノール対応車両)とともに、日本には導入されていない内燃機関搭載車ですが、燃料インフラがやはり課題となるでしょう。
要は供給と価格が問題ということ。裏返せば、そこさえ許せばフレックス車やバイフューエル車といった内燃機関の「進化形」は、BEVとともに身近なモビリティとして、エコな走りを楽しませてくれるかもしれません。
ちょっと残念だったのが、合成燃料やバイオフューエルに関する出展がほぼほぼ皆無だったところ(私が見る限り)。たとえばモータースポーツの分野では、カーボンニュートラルフューエルの実戦での検証が積極的に進められています。そのあたり、もう少し強くアピールされていてもよかったような気がします。