今週の刺激的公道実証モデル「水素エンジン ハイエース」
2023年10月23日から年をまたいで1月まで、おおよそ4か月間の間「オーストラリア・メルボルン近郊の公道」で、水素エンジンを搭載したハイエースの公道実証実験が行われます。建設会社や警備会社のビジネスをサポートするのだそうです。
今回はその実証実験用水素エンジンハイエースに、ほんのちょっとだけですが試乗することができました。スーパー耐久シリーズの最終戦「S耐ファイナル富士4時間レースwith フジニックフェス」でトヨタが用意してくれた、スペシャルプログラムです。
ベースとなっているのは、日本でも大人気のスーパー箱型トランスポーターではなく、短いけれどスラントノーズがちゃんとついている輸出仕様のHIACEです。外観はカラーリング以外、変更されていないそうですが、エンジンはV6ターボユニットに換装してあります。主に、走りのパフォーマンスを実用的なレベル(標準搭載の2.8L 直4ディーゼルターボと同等)まで引き上げるための、グレードアップです。
さらにインジェクターや制御系を、水素燃料用に調整してあります。タンクは圧縮水素(気体)を3本積んであるそう。目標としている航続距離は、満タンで約200km。給水素口には、NOx(窒素酸化物)対策のアドブルー注入口が備わっていました。
実はこのクルマ、航続距離の課題さえクリアすれば、そのまんま市販してもOKなレベルで完成しているのだとか。走らせてみても、ふんわりアクセルからしっかりトルクが立ち上がり、踏み込めば過不足のない加速感を発揮。しかもディーゼル特有のガラガラ音はないし、総じてとってもスムーズな「速さ」を実感させてくれました。
そういえば先日、大規模な天然由来の水素ガス鉱床が発見されたそうです。今は、「実質カーボンフリー」と少々歯切れが悪い水素エンジン搭載車ですが、天然由来なら完全にカーボンニュートラルな未来を描くことが可能になるでしょう。