取材先での印象的な出来事から個人的に注目したい最新ニュースまで、編集部員おススメの注目トピックを一週間分、まとめてご紹介する新コーナー。第1回は引き続き、Webモーターマガジン編集部でもっとも落ち着きがないと言われる編集委員 神原が富士スピードウェイから四方山話をお送りします。(11月5日~11月11日版)

広がりを見せる水素の利活用

トヨタが実証実験の場にオーストラリアを選んだ理由は、かの地の政府がカーボンニュートラルを巡る取り組みへの協力について非常に積極的であり、関連するチャレンジに対しても法的側面からの課題についても寛容な対応をしてくれるから、なのだといいます

画像: ベースモデルSLWB Commuterは全長4915mm、ホイールベース3860mmの超ロングボディだ。

ベースモデルSLWB Commuterは全長4915mm、ホイールベース3860mmの超ロングボディだ。

日本(の政府)はそういった面について、今一つ融通が利かないのでしょうか。試乗したハイエースの高い完成度を考えれば、「まんまこのクルマ」ではなくても、同様のメカニズムにコンバージョンしたスーパー箱型トランスポーターを作って、国内でも「実証実験」に臨めそうです。

なにしろ水素エンジンは、さまざまな「可能性」を秘めています。たとえばスーパー耐久シリーズで2023年シーズンからトヨタが取り組んでいる、液化水素の利活用は、水素エンジン車の弱点である燃料搭載量の問題を一気に解消するかもしれません。

マイナス253度という極低温状態での取り扱いなど、克服すべき課題は多々あります。それでもたとえば、既存の水素ステーションの施設を拡大活用することができるのは、普及に関しては大きなメリットになりそうです。えば、既存の水素ステーションの施設を拡大活用することができるのは、普及に関しては大きなメリットになりそうです。

画像: V6ターボをフロントに搭載。大型のエアクリーナーなど、グローバル展開時の要件に対応する仕様に変更されている。最高出力120kW、最大トルク354Nmは、ベース車が本来搭載している2.8L直4ターボのスペックに近づけている。

V6ターボをフロントに搭載。大型のエアクリーナーなど、グローバル展開時の要件に対応する仕様に変更されている。最高出力120kW、最大トルク354Nmは、ベース車が本来搭載している2.8L直4ターボのスペックに近づけている。

さらにトヨタは、水素エンジンをベースに、弱点と言われる低回転域のトルク不足を補うためにハイブリッド化する仕様なども研究しているのだとか。その根底には、今そこにある熟成された技術をうまく活用してCO2削減を目指す、という目標があります。

FCEVも含めて、水素によるリアルなモビリティの可能性を広げている一方で、普及の段階に向けても、非常に地に足のついた展開が計画されているようです。たとえばハイスペックな水素エンジンを搭載した「水素スペシャル」的なモデルは、今のところ開発する予定はありません。

ことほどさように、てっきり「未来のモビリティ」だと思っていた水素エンジンは、いつの間にかそうとうリアルな次世代モビリティへと急速に進化していました。なにより、コンバージョンという普及に向けた万人受けしそうな可能性には、大いに期待したいところです。

This article is a sponsored article by
''.