この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第17回目は、国産初の直6SOHCエンジン搭載のプリンス・グロリア スーパー6だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

その名にふさわしい速さと落ち着いた乗り心地

初代グロリアはALSI型スカイラインをベースに開発された上級モデルで、1.9Lエンジンと上質な内装で1.5Lのスカイラインとは差別化が図られていた。しかし昭和36(1961)年、スカイライン1900に同じエンジンが搭載されると、両車の違いは実質的に艤装と内装のみに。

画像: スタイルも、スマートさと力強さを感じさせる。性能的にもトルクアップによる加速感の向上や、回転の滑らかさなど6気筒ならではの乗り味を誇った。

スタイルも、スマートさと力強さを感じさせる。性能的にもトルクアップによる加速感の向上や、回転の滑らかさなど6気筒ならではの乗り味を誇った。

そこでプリンスはグロリアを全面改良して、社内のヒエラルキーの明確化を図る。昭和37(1962)年に登場した2代目となるS40型グロリアは、フラットデッキスタイルで大いに注目されたが、さらに一段上の国産最高級車の座を狙い、同年の第9回全日本自動車ショーに2.5L直6エンジン搭載車を参考出品した。しかし3ナンバー車は時期尚早と見たプリンスは、翌38(1963)年6月に排気量を2ℓとした「グロリア・スーパー 6」を発売する。

国産初の直6搭載車という意味では、日産セドリックスペシャル(2.8L)に4カ月遅れをとったが、スーパー6に搭載されたG7型エンジンは2ℓクラス初の直6であると同時に、国産初のSOHCでもあった。最高出力は105psで最高速度は4気筒モデルより10km/hも高い155km/hであった。

画像: タイミングチェーン駆動の一本のカムシャフトが、ロッカーアームを介して吸排気バルブを作動させるSOHC機構を採用していた。しかも6気筒は当時の憧れのエンジンだ。

タイミングチェーン駆動の一本のカムシャフトが、ロッカーアームを介して吸排気バルブを作動させるSOHC機構を採用していた。しかも6気筒は当時の憧れのエンジンだ。

トヨタM型、日産L20型が世に出たのは昭和40年なので、プリンスは2年先行していたとも言える。車体はサイドメンバートレー式と呼ぶフレームにボディを架装する。5本のクロスメンバーで結合されるサイドメンバーの中に、フロアと一体になった太いバックボーンが通った形で剛性が高い。

スーパー6の価格は119万円。4気筒モデルのDXが112万円なのだから、抜群のコストパフォーマンスといって良いだろう。 

プリンス・グロリア スーパー6(1963・S41D-1型)諸元

●全長×全幅×全高:4650×1695×1480mm
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1320kg
●エンジン型式・種類:G7型・直6SOHC
●排気量:1988cc
●最高出力:105ps/5200rpm
●最大トルク:16.0kgm/3600rpm
●トランスミッション:OD付き3速MT(コラムシフト)
●タイヤサイズ:7.00-13 4P
●新車価格:119万円

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