この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第20回目は、ラリーで世界を席巻したダットサン・ブルーバードだ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

エンジンをファインチューンしたスポーツモデルの先駆

昭和35(1960)年にセドリックを発売して波に乗る日産は、1Lクラスを強化するためブルーバード(310型)の全面刷新を図る。宿敵コロナとの差を確実にすべく、優位にあった走行性能に加え、デザインをカロッツェリア・ピニンファリーナに依頼。塊感のある欧州調のデザインは極めて新鮮で、誰もがその成功を信じた。そんな期待を負って昭和38年に発売されたのが410型ブルーバードである。

画像: 米国風のデザインが主流だった当時、ブルーバードSSはイタリア風とした。塊感のあるピニンファリーナのデザインは斬新で、現在でも十分魅力的だ。

米国風のデザインが主流だった当時、ブルーバードSSはイタリア風とした。塊感のあるピニンファリーナのデザインは斬新で、現在でも十分魅力的だ。

クラス初のモノコックボディの採用で軽量・高剛性を両立したものの、パワートレーンは先代1200DXで採用されたE1型1.2L(55ps)エンジン+フルシンクロ3速コラムシフトを継承したので、走行性能は互角でも、宿敵コロナ1500の60psにカタログ値で劣る。そのイメージを一転させるため昭和39年3月に投入されたのが、E1型のチューニングエンジンを搭載した「SS(スポーツセダンの略)」である。

モータースポーツ用ともいえるハイレベルなチューニングが施されたE1型エンジンの最高出力は一気に+10psの65psに上がり、最高速度は1200DXの120km/hから145km/h(カタログ値)に25km/hも向上している。後のSSSにつながる日産「S」シリーズの最初のモデルとなった。これが標準型の約5万円高で手に入ったのだから、SSは信じがたいコストパフォーマンスを備えていたといって良いだろう。

画像: 燃焼効率を上げるため圧縮比を高め、日産の常套手段、SUツインキャブを装着。ハイカム、ストレートインマニ、デュアルエキゾースト等などレース直系の技術を投入している。

燃焼効率を上げるため圧縮比を高め、日産の常套手段、SUツインキャブを装着。ハイカム、ストレートインマニ、デュアルエキゾースト等などレース直系の技術を投入している。

モータースポーツでも大活躍し、昭和41(1966)年には(すでに主力は1600SSSに移ってはいたが)、サファリラリーで5位入賞・クラス優勝を飾るなど高いポテンシャルを証明した。

日産が本格的にラリーで有名になるきっかけという意味でも重要な1台だ。

ダットサン・ブルーバード 1200SS(1964・410型)諸元

●全長×全幅×全高:3995×1490×1415mm
●ホイールベース:2380mm
●車両重量:925kg
●エンジン型式・種類:E1型・直4OHV
●排気量:1189cc
●最高出力:65ps/6000rpm
●最大トルク:9.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:5.60-13 4P
●新車価格:71万7000円

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