アバルト史上初の電動化モデル、アバルト500eが日本上陸。BEVであることを最大限に活かし、唯一無二の魅力を持つ革新のエレクトリック・スコーピオン。スマートなBEVに、アバルトらしさはあるか。電動化の先にある新感覚のドライビングフィールを探したアバルト500eには、ブランドの哲学が電動化の時代を迎えても揺らぐことなく貫かれていた。(Motor Magazine 2024年1月号より)

アクセルペダルを踏み込んだ瞬間の、瞬発力と加速力に圧倒される

アバルト500eが真価を見せるのは、街中を流すぐらいの巡航スピードからグッと加速していきたいとき、コーナーの頂点を抜けて鋭く脱出したいとき。アクセルペダルをキックしたその瞬間、ズバッ! と強力な加速を見せてくれるのだ。そのときの瞬発力、加速力、刹那のときめきは、このクラスのクルマには太刀打ちできるものがないほど。

画像: サウンドジェネレーターは荷室の床下に設置され(右)、外部スピーカー(左)から道路の音響反射を考慮して練られたサウンドを奏でる。室内にもサウンドと振動を十分な迫力で伝える。

サウンドジェネレーターは荷室の床下に設置され(右)、外部スピーカー(左)から道路の音響反射を考慮して練られたサウンドを奏でる。室内にもサウンドと振動を十分な迫力で伝える。

BEVでいうなら車格が似ていてトルクで勝るプジョーe-208と較べても、ICE版でいうなら誰もが認める超痛快コンパクト、アバルト595/695と較べても、間違いなく上まわっている。20→40km/hと40→60km/hが695よりそれぞれ1秒速いというデータも、60→100km/hが1秒近く速いというエンジニアから聞いた話も、そのまま身体で理解できる。

6000時間=およそ2年半の時間をかけて創造したサウンドジェネレーターによるレコードモンツァエキゾーストの音色が気持ちよく跳ね上がることも手伝って、加速時の心のレブカウンターの上昇っぷりも結構なものだ。有り体に言うなら、胸がすく、背中が軽くゾクッとする、気持ちはスカッと晴れ渡る。要は最高に気持ちいいのである。

コーナーでの振る舞いも実に見事だ。ノーズは素早く滑らかに曲がりたい方向へ正確に向かい、旋回中はずっと安定、出口でのアンダーステアも驚くほど少ない。動きのしなやかさではe-208にかなり近く、コーナーでの安定性と旋回スピードの速さでは595/695を上回ってる。それと強力な立ち上がり加速がタッグを組むのだ。ワインディングロードなどでは695をコーナーごとに引き離していくだけの実力を、きっちりと見せてくれるのである。

画像: ヘッドレストに専用ロゴをあしらいブルーとイエローのステッチを施したスポーツシートはアルカンターラ製。

ヘッドレストに専用ロゴをあしらいブルーとイエローのステッチを施したスポーツシートはアルカンターラ製。

これは紛うことなきアバルト。アバルトの哲学に沿ったクルマ以外の何者でもない。クラスを越えた速さがあるし、強烈に楽しいのだ。異端と誹られようと何と言われようと、BEVならではの持ち味を「楽しい」と「気持ちいい」の部分で炸裂させているようなこのクルマが、僕はとっても好きだ。(文:嶋田智之/写真:根本貴正 Motor Magazine編集部)

アバルト500e Turismo 主要諸元

●全長×全幅×全高:3675×1685×1520 mm
●ホイールベース: 2320mm
●車両重量:1360kg
●モーター最高出力:114kW(155ps)/5000rpm
●モーター最大トルク:235Nm/2000rpm
●駆動方式:FWD
●バッテリー種類・総電力量:リチウムイオン・42kWh
●WLTCモード一充電EV走行距離:303km
●タイヤサイズ:205/40R18
●車両価格:6,150,000円

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