アバルト史上初の電動化モデル、アバルト500eが日本上陸。BEVであることを最大限に活かし、唯一無二の魅力を持つ革新のエレクトリック・スコーピオン。スマートなBEVに、アバルトらしさはあるか。電動化の先にある新感覚のドライビングフィールを探したアバルト500eには、ブランドの哲学が電動化の時代を迎えても揺らぐことなく貫かれていた。(Motor Magazine 2024年1月号より)

開発にあたり、念入りにサソリ使いの調査をした

画像: シックでスポーティなアルカンターラを贅沢に採用したインテリア。ステアリングもサソリの爪を模している。

シックでスポーティなアルカンターラを贅沢に採用したインテリア。ステアリングもサソリの爪を模している。

彼らはフィアット500eをベースに、いったいどうやって電動サソリを作り込んできたのか。開発をスタートさせるにあたって、実に様々なことを念入りにリサーチしたようなのだが、そのひとつとしてサソリ使いの生態調査を行ったところ、アバルト乗りたちはドライブ時間の8割をシティドライブ、郊外の気持ちいい道、ワインディングロードで過ごしている、という統計が出たのだという。彼らはそこに着目した。そして、重要なのは中間加速とハンドリング、という方針が定まった。

と、だいぶフロントヘビーになってしまったけれど、これらはこのクルマに関心を持つすべての人に知っておいてもらいたいことだ。現地でエンジニアたちの声を直接聞かせてもらった人間の責任として伝えておくべき、そう思ったからあえて記したのだ。

前回の試乗記でもお伝えしたが、フィアット版に対する+37psと+15Nmの増強は、各部のキャリブレーションと抵抗やロスの削減、可動接触面の改善、ハーネス内部の抵抗やロスの削減といった恐ろしく地味な作業を驚くほどたくさん積み重ねたことによるものだ。さらには最終減速比を9.6から10.2へと加速重視型に変えている。それらはもちろん、中間加速=コーナーからの立ち上がり加速を高めるためのチューンナップだ。

画像: ガソリンエンジンモデルと比べよりバランスの取れた 57:43 の前後重量配分とプロポーション。

ガソリンエンジンモデルと比べよりバランスの取れた 57:43 の前後重量配分とプロポーション。

一方でシャシの方は、フィアット版の時点で重心の低さはもちろん前後左右の重量配分やホイールベース/トレッド比が極めて良好のため、バネレートとダンパーの減衰を少し締めた程度のチューンナップ。ただし、このクルマの車重や基本特性に合わせてブリヂストンと共同開発した、専用タイヤを履かせている。贅沢といえば贅沢だけれど、これがハンドリングとコーナリングのためであることは言うまでもないだろう。

そんなふうに明確な目的を持って濃くしたい部分を濃くしてきたアバルト500eは、まさしくエンジニアたちの狙いどおりのモデルになっている。発進加速が内燃エンジンのほとんどのモデルより鋭いのはBEVならでは、だ。

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