マツダが2023年11月に発売した新たな電動車「MX-30 ロータリーEV」は、11年ぶりのロータリーエンジン搭載車で、シリーズハイブリッド車で、PHEVで、と多くのトピックスを持つモデルだ。そして、マツダの電動化戦略で大きな役割を担っていることが見えてくる。

振動がほとんど伝わってこない、830ccの1ローターエンジン「8C」

MX-30 ロータリーEVはシリーズハイブリッド車だと表記したが、正確には外部からの充電(200V普通/CHAdeMO式急速充電)を可能にしたプラグインハイブリッド車だ。EVモードにすれば街乗りも含めた普段の走行は17.8kWh容量のバッテリーに充電した電力だけで107km(WLTCモード航続距離)を走行でき、また遠出するようなときに充電電力だけで足りなければロータリーエンジンで発電して航続距離を伸ばすこともできる。

カタログ値ではあるものの、877km(バッテリーで107km+ガソリン50Lで770km)という航続可能距離はなかなかにロングレンジな数値だ。ベースとなっているMX-30が持つしなやかな足まわりの特性も併せて見ると、ロングツアラーとしての適性の高さが感じられる。

画像: 外部充電だけでなく、CHAdeMO充電口を使ったV2Hに対応する。専用の機器を介することにより、ロータリーエンジンで発電した電気を家庭で使うこともできる。

外部充電だけでなく、CHAdeMO充電口を使ったV2Hに対応する。専用の機器を介することにより、ロータリーエンジンで発電した電気を家庭で使うこともできる。

一方でモーター駆動による静かさと滑らかな発進・加速の特性、そしてモーターの駆動力・回生ブレーキの特性を活かしてあらゆる方向へのG変化を滑らかに繋げていく「e-Gベクタリングコントロールプラス(e-GVC)」の効果は、ストップ&ゴーや交差点の多い街中走行においても大きな強みだ。

とはいえ、e-GVCの効果を体感するのは一般的に難しいと言われており、搭載車/非搭載車で比較しないとわからないかもしれない。それでも思い返してみると、ブレーキングからアクセルペダルの踏み込みに切り替えたときや、高速道路で追い越しのため車線変更するときなど、Gの強さや方向がかわった瞬間の軽いショックのようなものを意識した記憶がない。

足まわりやハンドリングがしなやかでスムーズだと感じられたのも、e-GVCの効果あってのことだろう。乗ってみると運転がうまくなった、丁寧になったと感じられるはずだ。

画像: 試乗したのはMX-30 ロータリーEV インダストリアルクラシックで、ボディカラーは砂型鋳造をイメージした「ジルコンサンドメタリック」とブラック(ルーフ)の2トーン。

試乗したのはMX-30 ロータリーEV インダストリアルクラシックで、ボディカラーは砂型鋳造をイメージした「ジルコンサンドメタリック」とブラック(ルーフ)の2トーン。

MX-30 ロータリーEVで最も注目されているのがロータリーエンジンだ。発電機としての搭載であるが、RX-7やRX-8に憧れを持っていた世代としては気になる存在であり、ロマンすら感じさせる。

しかし、試乗を前に知らされていた「あまりエモーショナルなものではなかった」という情報を、体感することになった。13Bとは違って1ローターなのだから当然のことだが、停車中や低速域走行で排気音は3気筒レシプロエンジンのような「トトトトト・・・」という音が遠くの方から聞こえてくるのだ。

想像とは違ったこの音はしかし、街中で交通の流れに乗っていれば気になるような音量ではない。アクセルペダルの踏量や車速に合わせてエンジン回転数を制御することで、運転操作に対して違和感ないサウンドを作り出しているからだという。しかし、そもそも充電だけで走るEVモードであれば聞くシーンも少ないはず。

一方で高速道路で追い越しするようなとき、アクセルペダルを奥まで踏み込んで「キックダウンスイッチ」をコツっという感触とともに押すとエンジンが自動的に稼働して、比較的高回転域で回っている音を感じ取ることはできる。そんな状況でも振動はほとんどなく、ロータリーエンジンとモーター駆動の相性の良さを体感することができた。

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