イメージ戦略が成功し、日本を代表する大衆車に
ボディ構造は、一般にユニットコンストラクションと呼ばれる構造を採用した。これはボディの強度を受け持っているのがフロアパネルに一体溶接されているアンダーフレームで、このアンダーフレームがサイドシル下の2本のメインサイドメンバーと、これをつなぐ2本のクロスメンバーに結合。
この前後にエンジンおよびフロントアクスルなどが取り付けられるフロントサブフレーム、リアアクスルなどが取り付けられるリアサブフレームなどを加えて構成されている。このボディ構造をトヨタではユニフレームと呼んでいる。
サスペンションは、フロントがストラットでスプリングはリーフとコイルを併用し、コイルにショックアブソーバが組み合わされる。ストラットの採用は国産車で初だった。リーフスプリングは、左右のアームを結んでおり、スプリングとしての役割の他にスタビライザーとしても機能する。
リアはリーフリジッドだが、メインリーフスプリングの上に、もうひとつリーフスプリングがあり、これを非対称に重ねてワインドアップを防止する構造となっている。
ステアリングギア形式はウォーム&ローラー式でギア比は18:1。最小回転半径は4.55mと取り回しの良いものだった。デラックスの車重は710kgで、サニー1000、スバル1000に比較するとやや重い。反面、最高出力が高いためにパワーウエイトレシオは11. 8ps/kgと小さい。
冒頭のキャッチコピーの秀逸さもあり、カローラ1100はライバルと目されたサニー1000を販売台数で凌ぎ、日本を代表する大衆車の地位を得る。どちらかといえば性能的な差というよりは、イメージ戦略の成功といえるだろう。
そしてカローラが普及していくことで日本のモータリゼーションが進み、大衆車の代名詞ともいえるクルマとして支持されていく。日本のモータリゼーションはこのクルマの貢献あってこそと言ってもいいだろう。
MECHANISM
ユニットコンストラクションと呼ばれたボディ構造を解説した初代カローラの透視図。トヨタではユニフレームと呼んでいたが、ボディにフレームの機能をもたせた一体構造といえる。フレームのかわりに、主としてボディフロアや車室の側面を構成するサイドメンバーなどに強度を受けもたせる。
MINOR CHANGE
初代カローラは何回かの改良が行われているが、もっとも大きな変更は昭和44(1969)年2月に行われたマイナーチェンジだ。安全装備や機能面での充実が図られたが、最大の識別点はフロントグリル。上下のバーをつないだ部分にエンブレムが付けられ、ひと目でマイナーチェンジ後のモデルと分かった。
トヨタ カローラ1100デラックス(KE10-D型)諸元
●全長×全幅×全高:3845×1485×1380mm
●ホイールベース:2285mm
●車両重量:710kg
●エンジン型式・種類:K型・直4OHV
●排気量:1077cc
●最高出力:60ps/6000rpm
●最大トルク:8.5kgm/3800rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:6.00-12 4P
●新車価格:49万5000円