電気モーターがより「主役級」に進化する恩恵とは
従来型とスペックの違いを見ると、進化型E-パフォーマンスの特徴は、電気モーターの役割が強化されている点にあると考えられます。
8速PDKデュアルクラッチトランスミッションに組み込まれた電気モーターは、最高出力140kW(190PS)、最大トルク450Nmを発生。先代モデル100kW(136PS)/400Nmよりも大幅にパワーアップしています。
V6エンジンの出力はやや抑えられていますが(4 E-ハイブリッドで330ps→304ps、4S E-ハイブリッドで440ps→353ps)、よりドライバビリティに優れる電気モーターの性能が引き上げられたことにより、加減速でのますます鋭いレスポンスが期待できそうです。
電気モーターそのものも改良が進み、内部ローター設計(ローターがステーター内で回転する)により質量慣性が50%減少、スロットルレスポンスが向上しています。また、効率的で重量を最適化した方法でハウジングに組み込まれたことで、PDKトランスミッションのオイル冷却循環の恩恵を受けることができました。
最適化された4つのE-ハイブリッド専用ドライビングモード(E Power、Hybrid Auto 、Sport、Sport Plus)により、E-ハイブリッドモデルの効率はさらに最適化されています。
ナビゲーションデータと連動したHybrid Autoモードのアクティブルートガイダンスは、前方のルート情報を生かして、バッテリーのマネジメントストラテジーをさらに最適化しました。市街地走行時のEV走行の割合が最大化され、エネルギー効率が高められています。
E-Chargeモードでは、内燃エンジンが市街地外で55km/h以上でバッテリーを最大80%まで充電し、パナメーラは市街地でのハイブリッドドライブの効率性の利点を活用します。
パフォーマンスが重視されるSportモードとSport Plusモードでは、スポーツ性を最大限引き出すために、制御が改良されています。バッテリーの目標充電状態をそれぞれ20%と30%に下げることで(以前は30%と80%)、パフォーマンスを犠牲にすることなく回生エネルギーを効率よく活用することが可能になりました。
新しい11kWのオンボードAC充電器が普通充電の時間を2時間39分に短縮するなど、パナメーラの進化は、より実利に富んだもの。さまざまな意味で、ポルシェの「ファストトラベル」戦略が新たなステージに入ったことを、実感させてくれそうです。