この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第44回目は、初のロータリーエンジン搭載の大衆車として脚光を浴びた、マツダ ファミリア・ロータリークーペの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

高性能を大衆のものとしたロータリー搭載量産車

昭和43(1968)年7月、マツダ ファミリア1000 /1200のシリーズにロータリーエンジン(RE)を搭載したクーペモデルが追加された。前年の昭和42 (1967)年秋の東京モーターショーに出品された試作モデル、RX85を市販化したもので、ファミリア・ロータリークーペと名づけられていた。

画像: ロータリーはピストンの往復運動とは違いローターの回転運動のため、静粛性が高く、またトルクの盛り上がりがレシプロエンジンと異なっていた。

ロータリーはピストンの往復運動とは違いローターの回転運動のため、静粛性が高く、またトルクの盛り上がりがレシプロエンジンと異なっていた。

東洋工業(現・マツダ)では昭和42(1967)年5月から国産初のRE搭載モデルとしてコスモスポーツを販売していたが、このファミリア・ロータリークーペがRE搭載車第2弾となった。エンジンはコスモスポーツに搭載されていた491cc×2ローター 10A型REをデチューンして最高出力100psとしたものを搭載した(コスモスポーツは翌昭和43年7月に最高出力を128psに向上させている)。

それでもファミリアの軽量ボディ(車両重量は850kg)と組み合わされた10A型REの動力性能はめざましく、最高速は180km/h、0→400m加速16.4秒という2ℓクラスのスポーツモデルをしのぐ実力を見せつけている。もちろんサスペンションも大幅に強化され、フロントにはディスクブレーキが標準装備されていた。

ファミリアは昭和44(1969)年から海外レースにも出場して活躍、数々のイベントで上位入賞を果たして注目を浴びているが、その主力はもちろんファミリア・ロータリークーペであった。

画像: 特徴的な丸型2灯のテールランプを装備したリアビューもスポーティにまとめられている。当時、ウインカーはオレンジではなくレッドだった。

特徴的な丸型2灯のテールランプを装備したリアビューもスポーティにまとめられている。当時、ウインカーはオレンジではなくレッドだった。

昭和45年3月、ファミリアはファミリア・プレスト・シリーズに移行、ファミリア・ロータリークーペはプレスト・ロータリーとなって継続して人気を集めたが、昭和48(1973)年7月に生産は打ち切られた。

マツダ ファミリア・ロータリークーペ(M10A型)諸元

●全長×全幅×全高:3830×1480×1345)mm
●ホイールベース:2260mm
●車両重量:805kg
●エンジン型式・種類:10A型・2ローター
●排気量:491cc×2
●最高出力:100ps/7000rpm
●最大トルク:13.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:6.15-13-4PR
●新車価格:70万円

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