さながら「最後の晩餐」・・・忘れ難き英国製V8ユニットの行方①ジャガー

世界的な脱内燃機関のトレンドにけん引される形で、英国車の大排気量・大出力V8ユニットたちもまた時代に見合った「変化」と「覚悟」が求められている。剛と柔が絶妙にバランスした奥深き味わいを楽しめる時間は、それほど長くはない。

画像: ジャガー Fタイプ Rクーペ。落ち着きの中にスパルタンさを秘めた走りが魅力的だ。

ジャガー Fタイプ Rクーペ。落ち着きの中にスパルタンさを秘めた走りが魅力的だ。

画像: ジャガー Fタイプ Rクーペ搭載の5L V8DOHCツインターボ(575ps/700Nm)。

ジャガー Fタイプ Rクーペ搭載の5L V8DOHCツインターボ(575ps/700Nm)。

後に同じグループとなったジャガー&ランドローバーの最新にして最後のV8が、AJ133と呼ばれる新設計ブロックを持つ直噴ユニットだ。自然吸気とスーパーチャージャー付きが用意される。中でも最高出力575に達する最強仕様のAJ133を積んだFタイプ Rクーペは、内燃機関ジャガー「最後の晩餐」というべき究極の仕様だ。

Fタイプは2012年にデビューした。モデルライフ9年(当時)となる本格派FRスポーツだ。中でもこのRクーペは、完熟の域に達している。SVO(スペシャル ヴィークル オペレーションズ)が産んだジャガー史上最強のロードパフォーマンスを誇るXE SVプロジェクト8の心臓部に由来する575psユニットを積んだ、レギュラーシリーズとしてはおそらく最終決定版である。

エンジンフィールは古典とモダンが入り混じった、とても味わい深いものだった。ジャガーはもうすぐフルエレクトリックブランドに転身するわけだが、「もうちょっと先延ばししてみない?」と言いたくなるほど、趣味性の高いエンジンにまで熟している。否、次がないからこそ、そうなったのか。今のうちに味わっておきたい名機のひとつであろう。

画像: スポーティな内装。12.3インチインタラクティブディスプレイを装備する。

スポーティな内装。12.3インチインタラクティブディスプレイを装備する。

ジャガー Fタイプ Rクーペ(2021年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4470×1925×1315mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:V8 DOHCスーパーチャージャー
●総排気量:4999cc
●最高出力:423kW(575ps)/6500rpm
●最大トルク:700Nm/3500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:8.4km/L
●タイヤサイズ:前255/35R20、後295/30R20
●車両価格(税込):1590万円(2021年当時)

This article is a sponsored article by
''.