不慣れなダートやスノー路面でも安心な好レスポンス
試乗会場となったのは、群馬県にあるオフロードコース「アサマレースウェイ」。そこには、バラエティに富んだテスト車両が用意されていました。コースも公道あり、テクニカル系マッドあり、ややタフなフラットダートあり、と多彩。マルチタレントなA/T4の魅力をチェックするには、うってつけと言えそうです。
まずはRきつめのダートステージ(アサマレースウェイの内周路)の印象から。前日に降った雨のおかげで、アサマレースウェイの火山灰質の路面はややマディなコンディションです。正直、雪道も含めて低ミュー路での運転にはあまり自信がないこともあって、とりあえずグリップ感や操舵レスポンスを確かめるつもりで、恐る恐るコースインしました。
ところが走り出してすぐに、「これは遠慮しなくてよさそうだ」と合点した次第。A/T4の接地感はとても自然で、加速も減速も、思った通りのグリップ感で応えてくれます。タイトなコーナーでは多めにハンドルを切ってみましたが、グリップ抜けや唐突なトラクション変化で怖さを感じることはありませんでした。ダート初心者にとっても扱いやすいキャラクターは、A/T4の魅力のひとつと言えそうです。
コーナーリングライン上に深めに掘られてしまったわだちがあっても、グリップするタイミングが図りやすいので臆さず攻めていける・・・といったら、その懐の深さが理解してもらえるでしょうか。どちらかと言えばルックス重視で、オフロードテイストましましになっていると思えたトレッドパターンは、意外に親しみやすい印象でした。
一方、本来はフラットダートらしき外周路のほうは路面状態があまり良好とは言えず、ラフな路面と格闘しながらゆっくり流して走ることになりました。コースサイドはマディ感が強く、イベント運営からは、タイヤがとられるとスピンする可能性もあると注意されました。
そんなシビアなコンディションだからこそ逆に実感されたのは、危険と思しき路面をとても気軽に避けることのできる、微小舵角での反応の正確さでした。速度域に関わらず素直な反応を生む才色兼備のブロックパターンはもちろんですが、G015よりも最適化されたスクエアな接地面が、ラグの少ないレスポンスを生んでいるように思えました。
今回はウエットやスノーの路面を確認することはできませんでしたが、基本的に安心感は高い、と予想できます。これは一度、スノーでの乗り味も確かめてみなくては・・・。などと、本来苦手なはずのシチュエーションにもチャレンジしてみたくなったのは、そんなA/T4の、想像以上の「優しさ」のおかげかもしれません。