エンツォが生きている頃にタイムスリップした気分
当時の参加フィーは、車両持ち込みなしでのドライバー料金が6000ユーロ、同伴者が1600ユーロで、それぞれにイタリアの付加価値税22%が+となっていました。ちなみに同伴者には、モデナ市内中心部での観光ツアーといったアクティビティも用意されていたようです。

現代的な電子制御システムのアシストを受けないミッドシップスポーツは、クルマとの対話を楽しみながらクラシックカーのドライビングテクニックを磨くには最高の素材と言えるだろう。
できるだけ愛車で参加することが推奨されていますが、もちろん輸送費は別途必要になるうえ、Ferrari Classicheの認定が必要。日本からではちょっと難しいかもしれません。いずれにしろ、特別なプログラムであることは想像できます。
では実際に参加すると、どんな「特別」が体験できるのでしょうか。西川氏が参加したセッションでは・・・。
「使用される個体はもちろん彼らが入念に整備した名馬たち。参加した日に供されたモデルは308GTB&GTS(キャブ車)、モンディアル3.2、550マラネロ、365GTB/4デイトナという豪華ラインナップで、デイトナの代わりに250GTルッソが使われることもあるらしい。ちょっと動かしてみるという体験だけでも有難いモデルたちだろう」(西川氏)
もちろんすべてのクルマのハンドルを握って、ご満悦だったことは間違いありませんが、ここでは最後の最後に感じた悦びのコメントをお伝えしておきましょう。
「プログラムの締めくくりはデイトナだ。これはもう1日のご褒美というやつで、クラシケ部門にももう余剰はないというギアボックスの操作に気を遣いつつ、キャブレターV12をじっくりと丁寧に味わってみる。初期型デイトナ、しかも唸るほど重いペダルに重いハンドルとなれば決して気軽に楽しめる個体ではないけれど、それでも程よいスピードで走らせてみれば、なんだかエンツォが生きていた時代にタイムスリップした気分になった」(西川氏)

リヤトランスアクスルとフロントアクスルのかなり後方に配置されたV12による抜群の重量配分によって、ミッドシップスポーツを凌ぐハンドリングと扱いやすさで定評があった。

デイトナから見るフィオラノの景色もまた夢のようだった。エンツォと同じ空気を吸った気分に。

フェラーリのクラシックカー部門である「クラシケ」では、アーカイブの管理や認証プログラム、レストレーションを行っている。

ロードカーはもちろんレーシングカーの復元も行うすべての仕様データが残っているからこそ、正確な復元が可能である。