2024年6月7日、 F1第9戦カナダGPがモントリオール セント・ローレンス川にある人工島に作られたジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで開幕する。モナコほど特殊なコースではないが、パーマネントサーキットとは異なる半公道サーキットでどんなレースが繰り広げられるか楽しみだ。

いつの間にかレッドブルとフェラーリのポイント差は24点に

今季ここまでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がすでに5勝をあげてリードしているが、チームメイトのセルジオ・ペレスの調子はいまひとつで、レッドブルのマシンは昨年ほどの圧倒的な速さを発揮できていない。

画像: F1第9戦カナダGPは開催されるジル・ヴィルヌーヴ・サーキット。モントリオール セント・ローレンス川にある人工島に作られた美しいコース。

F1第9戦カナダGPは開催されるジル・ヴィルヌーヴ・サーキット。モントリオール セント・ローレンス川にある人工島に作られた美しいコース。

実際、前戦モナコGPではシャルル・ルクレール(フェラーリ)にポールポジションを奪われ、レースでもそのまま逃げ切られている。

ここ2戦、フェルスタッペンにとっては不運な部分もあったが、マクラーレンとフェラーリの追い上げが急で、予断が許されない状況となってきている。

2024年F1ドライバーズランキング(第8戦終了時)

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル) 169
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)138
3位 4 L.ノリス(マクラーレン)113
4位 55 C.サインツ(フェラーリ)108
5位 11 S.ペレス(レッドブル)107
6位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)71
7位 63 G.ラッセル(メルセデス)54
8位 44 L.ハミルトン(メルセデス)42
9位 14 F.アロンソ(アストンマーティン)33
10位 22 角田裕毅(RB)19

2024年F1コンストラクターズランキング(第8戦終了時)

1位 レッドブル 276
2位 フェラーリ 252
3位 マクラーレン 184
4位 メルセデス 96
5位 アストンマーティン 44
6位 RB 24

ストレートからのブレーキングでオーバーテイクは可能

カナダGPの舞台となるのはジル・ヴィルヌーヴ・サーキット。1967年のモントリオール万博の会場跡地を利用して作られたコースで、ふだんは公園およびローラースケートやウォーキングなどのレジャー施設として使われているため、グリップがそれほど高くないのがポイントとなる。

画像: 全長 4.361 km のジル・ヴィルヌーブサーキットのコース図。ブレーキング時の安定性とシケインからのトラクション、そして長いストレートにつながるヘアピンを含む最も遅いコーナーが競争力の鍵となる。

全長 4.361 km のジル・ヴィルヌーブサーキットのコース図。ブレーキング時の安定性とシケインからのトラクション、そして長いストレートにつながるヘアピンを含む最も遅いコーナーが競争力の鍵となる。

コースレイアウトは長いストレートと深く切れ込んだコーナーの組み合わせが特徴。ストレートからのブレーキングでオーバーテイクのチャンスはあるが、ブレーキへの負荷は大きく、トラクションの良さやエンジンパワーなど複数の要素がからみあうため、コースの攻略は簡単ではない。

名物コーナーは13-14コーナー。オーバースピードで縁石に乗ってアウト側のコンクリートウォールに激突するアクシデントが多く、1999年に3人の世界チャンピオン、デイモン・ヒル、ミハエル・シューマッハ、ジャック・ヴィルヌーヴがここでレースを終えたことにちなんで「チャンピオンの壁=Wall of the Champions」と呼ばれている。

問題はこの時期の変わりやすい天候。雨の心配だけでなく、晴れれば路面温度が40度に達することもあるが、天候の変化により気温が急速に下がることもある。タイヤへの負荷は大きくないのでタイヤ戦略は1ストップが主流になると思われるが、このコースはピットストップロスが小さくオーバーテイクが可能なこともあり、2ストップが有利となる可能性もある。

かつてはイル・ノートルダム・サーキットと呼ばれていたが、このサーキットでF1初優勝を飾った地元の英雄にちなんでジル・ヴィルヌーヴ・サーキットと呼ばれるようになった。スタートライン上にはいまも”Salut Gilles”(やあ、ジル)とペイントされている。

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