2026年から導入されるパワーユニット規則は2022年8月に発表され、カーボンニュートラル実現を目標に掲げた規則が世界の自動車メーカーから支持を受け、フェラーリ、メルセデス、アルピーヌ、ホンダ、アウディ、レッドブル・フォード・パワートレインズという6つのパワーユニットメーカーが参戦を正式に表明している。
今回のF1次世代テクニカルレギュレーションは、FIA、F1、チーム、パワーユニットメーカーなどが協力して策定したもので、パワーユニットやサステナビリティだけでなく、シャシ、空力、安全性、エンターテインメント性など、F1のエキサイティングな未来を定義するものとなっている。
電動パワーを一時的にブーストできるシステムも導入
2022年8月に発表された新しいパワーユニットレギュレーションは、1.6L V6直噴シングルターボエンジンを基礎に、市販車に用いる100%持続可能な燃料を使用することを義務づけるとともに、燃料流量を制限してエンジンから得られるパワーを560kWから400kWに引き下げ、モーター出力を120kWから350kWへと大幅に増加する。
複雑なMGU-Hは廃止され、かわりにブレーキング時に回生できるエネルギー量を倍増し、1周あたり8.5MJのエネルギーが回生可能となる。
2024年の時点では最高出力の83%をエンジン、17%をモーター(MGU-K)が占めているが、2026年規定ではエンジンとモーターが50%ずつをまかなう形になる。
この新しい規定はカーボンニュートラル実現を目標に掲げる多くの自動車メーカーの心を動かし、ホンダもこれを機にF1復帰を表明している。
参戦するパワーユニットサプライヤーはメルセデス、フェラーリ、レッドブルフォードパワートレインズ、アルピーヌ、ホンダ、アウディで、メルセデスは自身のワークスチームのほか、マクラーレン、ウイリアムズの3チームに。フェラーリはワークスチームに加えてハースに。レッドブル・パワートレインズは、レッドブルとRBの2チームに供給することになる。
一方、アルピーヌ/ルノーはワークスチーム、ホンダはアストンマーティン、アウディは自身のアウディ・ザウバーと、それぞれ1チームへの供給体制をとる。
また、今回の発表では「マニュアル・オーバーライド・モード」を採用することが明らかになった。これはドライバー自らの操作で電動パワーを一時的にブーストすることができるというもので、追い越しの機会を増やす目的で設定される。
マシンは軽くてコンパクトになり、オーバーテイクも可能に
次世代の車両規則では、パワーユニット要件に合わせてシャシ規則も再定義されている。
現行のマシンよりも小型で軽量になるようボディサイズも変更され、ホイールベースは最大 3600mmから3400mmに短縮され、幅は2000mmから1900mm に、最大フロア幅は 150mm 縮小される。車両重量も軽くなり、最低重量が 768kg と、2022年のマシンより 30kg 軽量化される。
まったく新しいアクティブ エアロダイナミクス システムが採用されるのも大きなポイント。このシステムには可動式のフロントウイングとリアウイングが含まれており、ストレートでは抵抗の少ない X モードに切り替えることができる。
安全性に関しては、前面衝突に2段階構造が導入され、最初の衝突後、その後の衝突に対してもマシンの安全が保護されるように義務づけられるほか、側面衝突保護の強化、リアウィングエンドプレートライトの視認性アップなどが規定される。
パワーユニットレギュレーションのほか、マシンレギュレーションの詳細が確定したことで、2026年に向けてのマシン開発は一段と進みそうだ。