名ドライバーが多数出演。それぞれに強い存在感を放つ
「レーサーというものは、誰もが自分は死なないと信じている。」そんなセリフが物語るとおり、自らもドライバーとして鳴らしたエンツォにとっては不慮の事故もまた「レーサー」という職業を選んだ人間が背負うべき業であり、運命として受け入れるべきものなのでしょうか? そんな漠然とした疑問を抱いたまま、物語は「その瞬間」を迎えることになります。
実話をもとにしている本作では、アルフォンソ・デ・ポルターゴ(ガブリエル・レオーネ)やピエロ・タルッフィ(パトリック・デンプシー)のほか、数人の実在したレーシングドライバーが登場します。そして不思議なほどに、ひとりひとりのキャラクターが、強く印象に残りました。
時間的にはほんのわずかしか登場しなくても、ちゃんと恋人や奥さんなど大切な人がいるという背景が感じとれるからこそ、彼らの命がけの挑戦にあらためて「重み」が生まれます。そして彼らの過酷な運命のその先に、エンツォが手にする「幸せの一片」の大切さが実感されるのでした。(文:神原 久 Webモーターマガジン編集部)
映画「フェラーリ」 7月5日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:マイケル・マン(『ヒート』)
脚本:トロイ・ケネディ・マーティン
原作:ブロック・イェイツ著「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」
出演:アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー、パトリック・デンプシー
2023 年|アメリカ|英語・イタリア語|カラー・モノクロ|スコープサイズ|原題:FERRARI|字幕翻訳:松崎広幸|PG12
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