Webモーターマガジンが注目してきた映画「フェラーリ」が、2024年7月5日から公開されました。さっそく観てきた編集部スタッフの印象は「これはちょっと想定外」というもの。単なる偉人伝でも成功談でもレースバトルでもありません。エンツォ・フェラーリというひとりの男の生きざまは、さまざまな意味で「手に汗握る」物語なのでした。

58年ぶり10回目の勝利。アニバーサリーイヤーの公開は偶然?

2023年6月、新型ハイブリッド・エレクトリックハイパーカー「フェラーリ499P」は、世界で長い歴史と伝統を誇るル・マン 24時間レースの100周年記念で見事な勝利を収めました。この勝利はフェラーリにとって、1965年以来実に58年ぶりとなる通算10回目の総合優勝でした。

画像: 2024年6月15~16日にかけて開催されたル・マン24時間レースは、まさに激戦。周回数は311周にとどまり、なんとか50号車フェラーリが逃げ切ったが、最後まで走り切れるのかスリリングな結末となった。

2024年6月15~16日にかけて開催されたル・マン24時間レースは、まさに激戦。周回数は311周にとどまり、なんとか50号車フェラーリが逃げ切ったが、最後まで走り切れるのかスリリングな結末となった。

続く2024年大会において、フェラーリは激戦の末に見事に連覇を果たします。跳ね馬のレーシングヒストリーにおいて新たなメモリアルが刻まれたこのタイミングで、映画「フェラーリ」が公開されたのは(全米では2023年12月に公開済み)果たして、偶然だったのでしょうか。

監督を務めたマイケル・マンが構想を得たのは30年も前に遡るといいます。原作は1991年に発表されたブロック・イェイツ著のドキュメンタリー「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」(集英社文庫)。原題は「The Man,the Cars,the Races.the Machine.」・・・なかなかに意味深なタイトルと言えるでしょう。

ところで「フェラーリとル・マン」と言えば、日本では2020年に公開された映画「フォードvsフェラーリ」が印象に残っています。マイケル・マンは製作総指揮として、この作品にも関わっていました。

フォード目線(というか実際は、キャロル・シェルビー&ケン・マイルズ目線なのですが)で王者フェラーリに挑む物語は、圧倒的なスピード感で描かれたレースシーンと、ハリウッド映画らしいわかりやすいドラマ性とがあいまって、日本でも人気を博したようです。

実際のところフェラーリにとってル・マンは、やはり特別です。イタリア北部の小さな都市モデナで、エンツォ・フェラーリが小さなスポーツカーメーカーを創業したのが1947年のこと。それが1949年に開催された戦後初のル・マン自動車レースで優勝したことで一躍、世界的な名声を高めることになったのですから。

そして今回、映画「フェラーリ」においてクライマックスとなる1957年の「Mille Miglia(ミッレミリア)」は、ル・マンとはまた別の意味でフェラーリにとって文字どおり「忘れられない物語」の舞台となりました。

Topic:国民的人気を誇った「Mille Miglia」とは(映画「フェラーリ」公式リリースより)

「Mille Miglia(ミッレミリア)」とはイタリア語で「1000マイル(約1600km)」の意味。北イタリア・ロンバルディア州ブレシアをスタート/ゴール地点とし、一般公道のみで約1600kmを本気のレーシングスピードで走破する、伝説の都市間レースだ。貧しさゆえに常設サーキットの少なかったイタリアでは、ミッレミリアは国民的人気イベントであり、その戦果は、スポーツカーメーカーの命運をも左右していたと言われている。1927年にスタートしたミッレミリアだが、本作で描かれた1957年のレースをもって幕を閉じることとなる。(現在、同名レースはクラシックカー・レースとして開催されており、劇中当時とは異なるレースである)

そこでなにが起きたのか・・・自動車やレースのことはあまり詳しくないけれど、ちょっと観てみようかな、と思っている方は、あえてその詳細を知らないままで観ることをお勧めします。

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