この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第83回目は、GMと手を組んで誕生した、いすゞ ベレット・ジェミニ1600クーペLS登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

GMとの共同開発によって生まれた欧州テイストのクルマ

いすゞとGMが資本提携して3年、その共同開発の成果として昭和49(1974)年に登場したのがベレット・ジェミニ1600だ。

画像: ジェミニLSに搭載されたG161型1.6 Lの直4SOHCエンジンは、100ps/14.0kgmのスペック。排出ガス規制の嵐の中、当時としては十分なパワーを発生していた。

ジェミニLSに搭載されたG161型1.6 Lの直4SOHCエンジンは、100ps/14.0kgmのスペック。排出ガス規制の嵐の中、当時としては十分なパワーを発生していた。

車名はGMとの共同開発によって誕生したことから双子座(ジェミニ)に由来している。ボディ形状は4ドアセダンと2ドアクーペがあり、クーペLSはトップグレードにあたる。

搭載されたG161Z型1.6L直4SOHCエンジンは、 最 高 出 力100ps/6000rpm、 最 大トルク14.0kgm/4000rpmを発生する。当時、排出ガス対策で、他車が軒並み出力低下している中ではハイパワーが目立つスペックだった。

キャブレターはストロンバーグ型2バレル2ステージを1つだけだが、それでも十分な動力性能だった。エンジン特性はいすゞの伝統ともいえる低回転、高トルク型ではなく、やや高回転型に振られているのが特徴だ。

トランスミッションは、4速MTとなる。フローリアン用がベースだが、操作、フィーリングの向上を図るべく細部に改良を施した。短いシフトストロークとあいまって、素早く軽快なシフトフィーリングが得られる好ましいものだった。

サスペンションはフロント:ダブルウイッシュボーン、リア:トルクチューブ付き3リンクという組み合わせで斬新だった。ただフロントのダブルウイッシュボーンのストロークは不足気味で、コーナリングではインリフトする場面もあった。

画像: 日本車離れした雰囲気を感じさせるデザインのインパネは、GMとの共同開発ならでは。ステアリングがややオフセットし、シフトレバーがかなり前方から突き出ているのも独特だ。

日本車離れした雰囲気を感じさせるデザインのインパネは、GMとの共同開発ならでは。ステアリングがややオフセットし、シフトレバーがかなり前方から突き出ているのも独特だ。

グレード区分はLD、LT、LSで、最上級グレードがLSとなる。ベレット・ジェミニ(50年よりベレットが取れてジェミニとなる)は、その後いすゞの基幹車種として歴史を重ねていくことになる。

いすゞ ベレット・ジェミニ1600クーペLS(PF50型)諸元

●全長×全幅×全高:4135×1570×1335mm
●ホイールベース:2405mm
●車両重量:885kg
●エンジン型式・種類:G161Z型・直4SOHC
●排気量:1584cc
●最高出力:100ps/6000rpm
●最大トルク:14.0kgm/4000rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:155SR-13
●新車価格:91万9000円

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