FRコンパクトハッチで走りの良さと使い勝手を両立した
昭和52(1977)年、東洋工業(現・マツダ)が「従来の大衆車というイメージを払拭した新しい大衆車」をテーマに新開発したのが、ファミリアAPだった。エンジンは1.3Lの直4SOHCで、パワースペックは72ps/10.5kgm。マツダらしい実用域で使いやすいエンジンとなっていた。
シリンダーヘッドをアルミ合金とし、吸排気経路はクロスフローで多球型燃焼室を採用。フルトランジスタ式点火式システムを採用するなど、当時最先端の技術も注目された。排出ガス対策は、「マツダ希薄燃焼方式」と呼ばれるシステムで対処していた。
これは高速渦流状に吸入した薄い混合気を強い火花で燃焼させ、NOx/CO/HCの発生を抑えるもので、エンジンの基本構造を変えることなく対策している。駆動方式はFRとなる。2ボックススタイリングはFFの方がしっくりくる感じもするが、FF量産にはまだ技術的、コスト的にハードルがあった。
サスペンションはフロント:ストラット/リア:コイルスプリング+5リンクリジッド。接地性は高く、やや固めのセッティングと合わせたスポーティな走りっぷりが若者層を中心にうけた。ブレーキは、フロント:2リーディング式/リア:リーディングトレーリング式のドラムを基本としているがスーパーカスタムとGFのフロントはディスクブレーキを採用している。
昭和53(1978)年に1400ccエンジン搭載車などラインナップを広げ、昭和55(1980)年にFFファミリアが登場後もバンは昭和60(1985)年まで継続生産され、マツダの屋台骨を支えることになる。
マツダ ファミリアAPスーパーカスタム(FA4TS型)諸元
●全長×全幅×全高:3835×1605×1375mm
●ホイールベース:2315mm
●車両重量:805kg
●エンジン型式・種類:TC・直4SOHC
●排気量:1272cc
●最高出力:72ps/5700rpm
●最大トルク:10.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.00/12 4P
●新車価格:80万円