コンパクトなキャビンに2シーターを配置。トランクスペースも確保
エクステリアデザインを担当したのは、フラヴィオ・マンゾーニが率いるフェラーリ・スタイリング・センターのチームです。テーマは「フェラーリデザインの過去と未来を結びつけるもの」。歴代フェラーリのDNAを再解釈するとともに、F1マシンの美しさに着目するなど、そのデザイン要素は多岐に渡ります。
バタフライドアは、ほぼ90度の角度まで開きます。コンパクトなキャビンは、シングルシーターのレーシングカーをインスパイアするもの。シートはドライバー中心の左右非対称レイアウト(パッセンジャーシートをやや後方にオフセット)で、独特のシングルシーター感を演出しています。主役はあくまでドライバー、ということで、フェラーリはこれを「1+」と名付けています。
このアレンジは主に、前影投影面積を削減するためにキャビン(とくに幅)を抑えることを目的としています。結果、居住空間の幅は狭められましたが、人間工学的な使いやすさや快適性は損なわれていません。
コクピットデザインで注目したいのはステアリングホイールでしょう。上下のリムをフラット化するとともにステアリングボスを縮小。視界を遮ることなくスポーティな感覚を強調しています。物理的なボタンの復活も、使いやすさにつながる進化と言えそうです。
加えてフェラーリのスーパーカーとしては初めて、シートの背後に一泊分程度のスーツケースが入るスペース(35L)が確保されました。
日常性能、という意味では、各種先進運転支援システム(ADAS)も標準装備。ストップ&ゴー機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール、自動緊急ブレーキ、レーン・ディパーチャー・ウォーニング、レーン・キープアシスト、自動ハイビームなど、上級乗用車に匹敵する充実ぶりです。
なお動的パフォーマンスは最高速度350km/h、加速性能が0→100km/h:2.15秒・0→200km/h:5.75秒と公表されています。