1974年にドイツで誕生したフォルクスワーゲン ゴルフは、2025 年に日本導入50周年を迎える。ゴルフは当初からスポーティな車両として設計され、1974年の初期段階で、将来の GTI (1976 年にデビュー) が国際 FIA 規則に従って開発されることが想定されていたという。そうした背景のもと、その後、ゴルフにはモータースポーツと深く関係したスポーティなモデルが多数登場している。今回の特集シリーズでは、「スポーティゴルフの50年」を振り返り、さまざまな世代の忘れることのできない8台の象徴的なモデルを紹介しよう。第3回は1990年に登場したゴルフ II ラリー ゴルフ G60 グループ Aをピップアップする。
Gラダー搭載でドイツ・ラリー選手権のタイトルを獲得
車両番号 03
ゴルフ II ラリー ゴルフ G60 グループ A(1990年)
Golf II Rallye Golf G60 Group A
1990年代初頭、自動車製造のトレンドとしてダウンサイジングという考え方が出現する中、フォルクスワーゲン モータースポーツはフォルクスワーゲンのリサーチ & デベロップメントと協力し、既存のエンジンの効率と性能を同時に向上させる方法を模索。燃費を悪化させずパワーを上げるために、スパイラル スーパーチャージャーを搭載した新しい1.8L 4気筒エンジンを開発した。
Gラダー(G-Lader)と名付けられたスパイラル スーパーチャージャーは、ターボチャージャーとは異なりエンジンからベルトで直接駆動されるため、排気ガスの量に依存することなく低速域から大きなパワーを生み出し、敏捷性と効率性でライバルに対して優位に立つことに成功した。
このGラダーを搭載した「ゴルフ II G60」はラリーやレースなど広くモータースポーツに参戦するために、グループAのホモロゲーション要件を満たす5000台以上が生産されたが、市販モデルの「ゴルフ II G60」でも160psを実現。モータースポーツ参戦用にチューンされたこの「ラリー ゴルフ G60 グループ A」では、最高出力275ps(1Lあたり156ps)にまで到達していた。
「ラリー ゴルフ G60 グループ A」は1990年からWRCに参戦してラリー・ニュージーランドで3位に入賞。1991年には、エルウィン・ウェーバーとマンフレッド・ヒーマーが、このモデルでドイツ・ラリー選手権のタイトルを獲得した。