変わって欲しいけど、変わって欲しくないものがある。
大上段に構えるなら「100年に一度の大変革」の時代を迎えているからこそ、なのかもしれません。
内燃機関から電動化へと需要と供給のバランスが動き始めていく中で、多くの自動車ブランドが、「エンジンではなくモーターで動くようになっても、長い歴史の中で培ってきた愉しさ、面白さは変わりません」と、「変わらないこと」をひときわ強調しているような気がします。

2024年12月13日、ルノーはプライムビデオで配信されるドキュメンタリー番組において、ルノー5ターボを現代版に解釈した電気自動車「ルノー5ターボ3E」を公開した。5ターボ/5ターボⅡのデザインエッセンスが、見事に再現されている。

ルノー 5ターボ
2022年、モンテカルロで開催されたヒストリックカー・ラリーに参戦した1980年型ルノー 5ターボ。アラン・セルパッジ/フランソワ・アラン組が1985年のフランスラリーチャンピオンに輝いている。
とりわけ、フレンチEVの新顔たちに「昔の名前で出ています」が増えているあたり、興味深いですね。「キャトル」「トゥインゴ」に続き、「サンクターボ」もですか!?ネーミングだけでなく、デザイン性を始めとするキャラクター付けに至るまで、巧みに今ふうに復刻させてきたルノーの取り組みには、かなり注目しています。
国産車では、ホンダのふたつの次世代戦略「Honda 0」と「e:HEV Next」のそこかしこに感じられる「昔取った杵柄」感に期待しています。
軽くて低くてしなやかで、しかも広いんだよーというパッケージングを実現するプラットフォームとか、数値上のパワーとか効率ではなく、気持ちいいところをとことん味わい尽くすためのパワートレーンとか、還暦を迎えた担当編集が憧れ続けた「ホンダらしさ」を変わらず追求し続けているところに、不思議な感動すら覚えます。