「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、プジョー 208だ。
プジョー 208(2012年:ニューモデル)
プジョーのCセグメント コンパクト ハッチバックが「207」から「208」にフルモデルチェンジされた。日本仕様には新開発の3気筒1.2Lや1.6Lターボも設定される予定だが、まずは先代の207で好評だった1.6L+4速ATモデルが日本デビューを果たしたので、さっそく試乗してみることにした。
ずいぶん上級志向になったな!というのが、208の第一印象だ。プジョーと言えばフランスの大衆車ブランドで、けっして高級プレミアムブランドではないはずだが、先代の207と比べると、飛躍的に上級感が高まっているように見えた。となると気になるのは車両価格なのだが、嬉しいことに199〜258万円と、価格帯は207とほぼ変わらないユーザーフレンドリーな進化だった。
サイズ的には207とホイールベースこそ同じだが、フロントで75mm、リアで10mm、オーバーハングを切り詰めてボディが短くなった。運動性を高めているのだろう。しかしパッケージングの妙なのか、室内にいると207より広く感じられる。しかも同じエンジン搭載モデルで比較すると、車両重量は100kgも軽くなっているのだ。
どうりでパワフルになったと感じたわけだ。じつは今回試乗した1.6Lエンジン+4速ATモデルは、207と同じパワートレーンなのだが、出足はトルクが出すぎているのでは?と思えるほど、ずいぶんと力強くなっていた。以前から問題の多かった4速ATもお節介さは影を潜めて、熟練を重ねた扱いやすいものになっていた。