マツダというメーカーは実にユニークである。縦置きFRプラットフォームに直6ディーゼルエンジンやプラグインハイブリッドを載せて、さらに3列シートを有するフルサイズSUVを作り上げる・・・クルマ好きにとっても興味津々な、そんなモデルで旅に出かけた。(文:中村圭吾(本誌)/写真:井上雅行 MotorMagazine 2024年12月号)

4気筒の軽さが優れた回頭性につながっている

それでいて路面のギャップを大きく拾うこともなさそうなので、快適に気持ちよく走ることができる。このあたりは好みの部分になるが、同じプラットフォームを使うCX-60とかなり共通性の高い走りの味だ。

画像: ロングドライブの際に重宝するACCやレーンキープなどの運転支援も充実する。

ロングドライブの際に重宝するACCやレーンキープなどの運転支援も充実する。

ちなみに、ドライブモードには「スポーツ」が用意されているのだが、これにセットすると、メーター表示が変わってサウンドの変化やアクセル開度に応じてレスポンスも向上、高回転まで活発に回るようになる。前述した足まわりとあわせて、より研ぎ澄まされたスポーティな走りが可能になる。

後で開発者にも確認したところ、このPHEVモデルは6気筒モデルより鼻先が軽いことや、バッテリーを搭載することで重量バランス的には一番優れているモデルになるという。どおりで回頭性も良いわけだ。エンジンもモーターが加わると力強く回るので、そこでストレスを感じることもない。これなら4気筒モデルでも不満は出ないだろう。むしろ4気筒の恩恵を受けた走りを求めるならこれだ。

では、高速道路ではどうだろう。ロングホイールベースのおかげで直進安定性も高く、乗り心地も良好である。段差を超えると多少前後動が気になる部分もあったが、後席に乗っていたカメラマンは気持ち良さそうに眠っていたので、快適なのは間違いなさそうだ。

PHEVとしては、EVモードやチャージモードも用意されているが、マツダコネクト画面から操作しなければならないのがひと手間。走り出しはEV走行が基本で、バッテリーがほぼ満充電でスタートしたというのもあるが、市街地では長い間EVで走行することができた。ちなみにEV走行距離は約60kmとなっているので、充電環境が整っていれば日常使いを電気のみで補うこともできそうだ。

クリーンディーゼルの美点を引き出すMHEV

初日はPHEVの試乗で終えて、翌日XDハイブリッドのエクスクルーシブモダン(4WD)に試乗した。

画像: 純正のトレーラーヒッチを装着すると、車載のドライブモード「Mi-Drive」に「トーイングモード」が出現し、選択できるようになる。これはAWDの制御やパワートレーンの出力制御等を牽引(=トーイング)に合わせて最適化するもの。こうした細かな配慮も実にマツダらしい。

純正のトレーラーヒッチを装着すると、車載のドライブモード「Mi-Drive」に「トーイングモード」が出現し、選択できるようになる。これはAWDの制御やパワートレーンの出力制御等を牽引(=トーイング)に合わせて最適化するもの。こうした細かな配慮も実にマツダらしい。

パワートレーンは3.3L直6ディーゼルエンジンにモーターを組み合わせたMHEVで、こちらも共通のトルコンレス8速ATを採用する。加速時に大きなショックやギクシャク感も皆無で、むしろ550Nmという大トルクにモーターアシストが加わり、低回転からスムーズに気持ちよく回る。

先に試乗したPHEVモデルと比べると、車両重量は120kgも軽いのだが、こちらの方がどちらかというとゆったりとした乗り味という印象で、足まわりの感触もよりマイルドに感じた。

滑らかなディーゼルエンジンの性格も含めて、ラグジュアリーSUVらしさで選ぶなら、こちらの方があっているかもしれない。

画像: 縦置きされた3.3L直6ディーゼルターボ+ハイブリッドは254psのパワーと550Nmのトルクを発生する。

縦置きされた3.3L直6ディーゼルターボ+ハイブリッドは254psのパワーと550Nmのトルクを発生する。

今回の試乗モデルはPHEVとXD MHEVの2台だった。純ディーゼルエンジンには乗ることができなかったので、近い内にぜひ試乗して確かめてみたい。

これでマツダSUVのラインナップはコンパクトからラージサイズまで6車種。それぞれ独自の個性を放つ、バリエーションに富んだモデルが揃った。そのフラッグシップのCX-80もまた、スポーティであり、ラグジュアリーであり、と二面をうまく両立したマツダらしいフルサイズSUVだった。

図らずも先行したCX-60によって、開発のプロセスまで見直して挑むこととなったマツダの新作。心血を注いで生まれたCX-80は、マツダの旗艦車として、ユーザーに受け入れてもらえるのか。これからの動きにも期待したい。

【CX-80 XDハイブリッド エクスクルーシブモダン<CX-80 PHEV プレミアムモダン>主要諸元】

●Engine 型式:T3-VPTH<PY-VPH> 種類:直6DOHCディーゼルターボ+モーター<直4DOHC+モーター> 総排気量:3283<2488>cc ボア×ストローク:86.0×94.2<89.0×100.0>mm 圧縮比:15.2<13.0> 最高出力:187kW(254ps)/3750rpm<138kW(188ps)/6000rpm> 最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1500-2400rpm<250Nm(25.5kgm)/4000rpm> 燃料・タンク容量:軽油・74L<レギュラー・70L> WLTCモード燃費:19.0<12.9>km/L CO2排出量:136<180>g/km 
●Motor 型式:MR<MS> 種類:永久磁石式同期電動機 最高出力:12kW(16.3ps)/9000rpm<129kW(175ps)/5500rpm>最大トルク:153Nm(15.6kgm)/2000rpm<270Nm(27.5kgm)/4000rpm> 
●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4990×1890×1710mmホイールベース:3120mm 車両重量:2120<2240>kg 最小回転半径:5.8m 
●Chassis 駆動方式:4WD トランスミッション:8速AT ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前:ダブルウイッシュボーン/後:マルチリンク ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク タイヤサイズ:235/50R20<235/50R20>
●Price 車両価格:6,022,500円<7,199,500円>

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