WRCやニュルブルクリンク24時間レースなどモータースポーツ参戦で培ってきた技術や知見を投入したスバルSTI(スバルテクニカインターナショナル)のコンプリートカー「Sシリーズ」はどのように進化してきたのか。今回の特集では2004年に登場した「S203」から、インプレッサ/WRXをベースとした「Sシリーズ」を中心に振り返ってみよう。第6回は2017年に発表された「S208」を紹介する。

S208:2017年発表(450台限定車両価格:626万4000円)

好評のS207の後を受けて、2017年に登場したのが「S208」。エンジンの細かい部分を見直して再チューニングすることにより、最高出力329ps/最大トルク44.0kgmにパワーアップし、加速性能をさらに向上させるなど、人気の高かったS207を熟成させてデビューした。

足回りには、11:1のクイックなステアリングギア比、フレキシブルタワーバーはじめSTI独自のパーツ類に加え、可変減衰力サスペンション「DampMatic II」やフレキシブルタワーバー、フロント+リアのアクティブ・トルク・ベクタリング、STI製BBS 19インチ鍛造アルミホイール+255/35R19タイヤを装備する。

精度の高いサスペンションセッティングで、ドライバーの技量に応じて楽しめる、気持ちのいい走りを実現した。またその走りは、スパルタンすぎず、ロングドライブも快適にこなす懐の深さがあった。

エクステリアではカーボン製リップスポイラーを新たに採用したほか、インテリアにもレカロ バケットタイプフロントシートや専用スポーツメーターを採用するなど、走りへの期待感、所有する喜びを感じさせた。

こうした装備のため車両価格は600万円を超えたが、円熟の域に達したその仕上がりは高い評価を受けて、人気が集中。450台の限定数に対して約6倍の2600件以上もの応募があった。

とくに、ドライカーボンルーフやS208ロゴ入りのドライカーボンリアスポイラーを採用した、ニュルブルクリンク24時間レースを想起させる「NBR CHALLENGEPACKAGE」仕様(限定350台)の人気は凄かった。

画像: S207のコンセプト「愉しさで世界ナンバー1のクルマ」を引き継いで、さらに熟成されて登場した「S208」。シャシ、サスペンションは207と同様の方向で強化されているが、さらに精度の高さが感じられた。

S207のコンセプト「愉しさで世界ナンバー1のクルマ」を引き継いで、さらに熟成されて登場した「S208」。シャシ、サスペンションは207と同様の方向で強化されているが、さらに精度の高さが感じられた。

画像: レカロのバケットシートや専用スポーツメーター、STI製プッシュエンジンスイッチ、などを装備したインテリア。機能的なだけでなく、所有する喜びを感じることができた。

レカロのバケットシートや専用スポーツメーター、STI製プッシュエンジンスイッチ、などを装備したインテリア。機能的なだけでなく、所有する喜びを感じることができた。

STI S208 主要諸元

●全長×全幅×全高:4635×1795×1470mm
●ホイールベース:2650mm
●重量:1510kg
●エンジン型式・種類:EJ20・対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:329ps/7200rpm
●最大トルク:44.0kgm/3200-4800rpm
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●トランスミッション:6速MT
●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウイッシュボーン
●ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
●タイヤサイズ:255/35ZR19
●車両価格:626万4000円(2017年当時)

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