「スーパーカー」の世界では、超高性能を発揮するパワートレーンに最先端構造&デザインによる2ドアボディという組み合わせが主流だ。しかし現在ではSUVでも十分にその範疇へ含まれるモデルが増えている。PHEVとなった最新仕様のウルスSEなど、まさにその好例であろう。(文:中村圭吾(本誌) 写真:アウトモビリ ランボルギーニ S.p.A. Motor Magazine 2025年12月号より)

電動化をメリットに活用。静粛と躍動の理想的な両立

ハイブリッドモデルの特権として、たとえばガレージからは静かに出庫して住宅地は静粛に走り、幹線道路に入ったらエンジンを掛けて楽しむ、なんてことも可能だ。これがご近所さんにも優しい現代スーパーカーの最適解か。EV航続距離は約60kmもあるから、電気のみで買い物などに使うことも余裕だ。せっかくなのでしばらくはEVモードで走ることにしよう。

画像: ウルスSEのハンドルを握るまでは長い道のりだったが、青い海を横目にしながらのドライブは、景色も気分も最高だ。

ウルスSEのハンドルを握るまでは長い道のりだったが、青い海を横目にしながらのドライブは、景色も気分も最高だ。

EV走行時、意外なほど静かなことに気づいた。従来のICE版ウルスも余計な音はシャットアウトして心地よいサウンドのみを聴かせてくれたが、駆動系からの音がほぼしないEV走行となるとロードノイズが気になることもある。だがウルスSEはピレリがEV走行も考えて開発した専用のPゼロタイヤを装着しているので、ロードノイズが抑えられているのだ。

ハイブリッド化に伴ってバッテリーやモーターを搭載したことにより、重心や重量バランスも変化しているだろうが、ウルスSEは新たにセッティングされたアダプティブエアサスペンションにより決して路面状況が良いとは言えない南イタリアの郊外でもその影響を受けることなく快適に走る。

スーパーSUVながらこうした圧倒的な快適性こそウルスならではの特徴で、それも大きな魅力だ。

従来以上のハイパフォーマンスでありながら、かつ長い間EV走行が可能ということはウルスの商品力を高めることになるだろう。しかし、電気のみで走っていてはウルスの本質的魅力が半減してしまうというものだ。ドライブモードをスポーツへと切り替えると、いつものウルスが目を覚ました。

今回のドライブコースはイタリア南部の海沿いにあるいくつかのスポットを巡りながら、ウルスSEを楽しむというもの。エンジンが掛かったウルスSEの窓を開け、海沿いの街をドライブするのは格別だ。気付けば3時間の試乗時間も、一瞬で終わってしまった。

ウルスSEに搭載されるPHEVシステムは、620ps/800Nm仕様の4L V8ツインターボエンジンと、192ps/483Nmを発生する電気モーターを組み合わせたもので、システム全体で800ps/950Nmというスペック。レヴエルトが1015ps、テメラリオが920ps(ともにシステム総出力)となっているので、もはやそこに驚きはしない。

高速道路も使わない今回の試乗区間ではその片鱗を感じることができた程度だが、本領は後のナルド試乗で味わうことにしよう。

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