富士スピードウェイの全開走行でも問題なし！
4本出しの大口径マフラーは配置に徹底的こだわり、一番カッコ良く見えるところに1mm単位で確認を繰り返して完成したという。
実際に乗ってみると、その走りはノーマルとは明らかに異なる。マイナーチェンジで大きく進化したマークXだが、ファミリーサルーンとしての味わいもあることから、ノーマルはひとことで言えば直進安定性重視。落ちついたクルージング性能が持ち味だ。対してG'sはノーマルのゆったりとした乗り味をそのままに、無駄な動きを削り、収まりが早い。富士スピードウェイの本コースを走ると、ストレート後半でリミッターが早くも作動し、コーナーでも、来持っている力強い加速感によってグイグイと速度を増していく。
当然ロールも深くなっていくが、ここからがG'sの真骨頂。ノーマルモデル同様にロールは感じられるものの、その速度は抑えられ旋回中の揺れも少ない。ボディが軽くなったような感じで姿勢がピタリと収まり、無駄な動きがない分だけ前へ前へと駆動力が正確に伝わり、高い速度をキープしたままコーナーを抜けていく。
フロントで20mm、リアで15mmローダウンした効果もあるが、硬さが感じられることなく、駆動力が安定していることからも接地性の高さは確か。乗り心地を犠牲にすることなく、高速安定性を満たしている点に驚かされる。このあたりは200km／h以上で路面環境の悪いニュルブルクリンクで走り込んできたノウハウが生かされているのだろう。
ボディの補強を徹底し、サスペンションの各部の補強や空力パーツの効果も高速サーキットでは心強い。高速からのブレーキングも、タイトターンの飛び込みも一体感があって、ラインの乱れはいささかもない。そしてマークXそのものの潜在能力の高さを知るだけでなく、G'sの実力がいよいよ走りの楽しさが際立つFRセダンに反映されたことが、何よりもうれしいことといえるだろう。
空力にこだわったとはいえ、マークX本来の上質さや品の良さをそのまま活かしているところは、G'sらしいといえるだろう。
トヨタ マークX 350S G's 主要諸元
●全長×全幅×全高：4795×1795×1420mm
●ホイールベース：2850mm
●車両重量：1550kg
●エンジン：V6 DOHC
●総排気量：3456cc
●最高出力：234kW（318ps）／6400rpm
●最大トルク：380Nm（38.7kgm）／4800rpm
●トランスミッション：6速AT
●駆動方式：FR
●燃料・タンク容量：プレミアム・71L
●タイヤサイズ：235／40R19
●当時の車両価格（税込）：420万円
