昨今のハイパフォーマンススポーツモデルは、涼しい顔をしながら開いた口が塞がらないほどの高性能をたやすく実現させる。その本領を公道ではなく、サーキットでより安心してフルに発揮させるべく特別な仕様を備えたのがこの「PRO」である。(文:島下泰久/写真:メルセデス・ベンツ日本 Motor Magazine 2025年1月号より)

空力性能を徹底的に強化。驚異的に高いスタビリティ

さて、実はGT63 PRO 4マティック+の特徴はそれだけに留まらない。外から見えない部分に性能向上のカギが隠されている。

画像: 空力性能を徹底的に強化。驚異的に高いスタビリティ

フロア下面には、フロントにブレーキ冷却用ディフューザー、リアにディファレンシャル冷却用インレットが備わり、前後アクスル部分にはダウンフォース発生用のストレーキが装着されている。フロントエプロン内に可変式エアパネルが備わるのはベース車と同様だ。

それらの結果、フロントはリフトが30 kg減少し、リアは15 kgのダウンフォースが追加された。

さらに冷却性能の向上も図られている。エンジン用ラジエーターがフロント左右に分割して置かれたほか、前後のディファレンシャルとトランスファー用のラジエーターを追加し、ブレーキカバープレートも冷却を考慮して改良されたという具合である。まさにレーストラックでの走行を見据えた実践的な改良と言っていいだろう。

その走りでまず印象的なのは、極めてハイレベルのスタビリティである。直進安定性もトラクション性能も申し分なく、しかもその様がありありと伝わってくるから躊躇なく右足を踏み込めるのだ。実際、コーナリングも思い切って攻め込んだ方が却って安定しているという印象だった。これは、ついつい右足に力が入ってしまう。

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