車載用スイッチやリレーなど、電装品サプライヤーとして知られるオムロンが、より効率的かつ経済的にV2Hを利活用できるマルチV2Xシステム※1、「KPEP-A‐2シリーズ」を2025年4月に発売する。(Motor Magazine 2025年5月号より)

※1:「V2X」は「クルマ」と「何か=X」をつなげるシステムの総称であり、オムロンの「マルチV2Xシステム」は「自宅=H」以外の用途にも活用することを目指し、「X」の名称を使っている。

経済性と非常時への”備え”として、注目が集まる「V2Hシステム」

太陽光発電システムを自宅に設置している人も多いのではないだろうか。補助金や余剰電力買取といった制度の施行、そして東京都での設置義務化などにより、設置戸数は増加傾向にある。さらに近年、電力を効率的に蓄電・消費するシステムとして、大容量のバッテリーを搭載したBEVやPHEVといった電動車と、住宅を組み合わせたV2H(Vehicle to Home)が注目されている。

画像: V2Hを導入し、家庭で使用しなかった余剰電力だけでBEVを充電する設定にすれば、クリーン電力のみで走行する、よりサスティナブルなEVライフを実現できる。

V2Hを導入し、家庭で使用しなかった余剰電力だけでBEVを充電する設定にすれば、クリーン電力のみで走行する、よりサスティナブルなEVライフを実現できる。

自宅の電源で電動車を充電するだけでなく、文字どおり電動車に充電した電気を自宅の電力として使える機能を持つ。しかも電動車用の一般的な200V普通充電器(出力3kW)と比較すると、約2倍(6kW)の出力で充電できるので、駆動用バッテリーの容量が拡大傾向にある昨今、さらに注目度が高まってきている。

他にもV2Hを導入するメリットはさまざまあるが、地震、落雷の災害により停電したときにも、EVから自宅に電気を供給(給電)することで普段どおりの「電気がある」生活を続けられる点にも注目したい。こうした安心感の高さもあって、V2Hの設置戸数は確実に増加している。

「ハイブリッドV2Xシステム」が可能とする、より効率的なエネルギー活用

そうした中、オムロンは2025年2月5日に同社V2Hの主力製品「マルチV2Xシステム」のリニューアルを発表。太陽光発電と電動車のバッテリーをより効率的に運用できる「ハイブリッドV2Xシステム」を開発し、新たにラインアップした「KPEP-A‐2シリーズ」として発売開始した。

画像: ハイブリッドV2Xシステムの製品外観。EVユニット(左)、マルチV2Xパワーコンディショナ(中央)、V2X用PVユニット(右)で構成される。

ハイブリッドV2Xシステムの製品外観。EVユニット(左)、マルチV2Xパワーコンディショナ(中央)、V2X用PVユニット(右)で構成される。

この新製品の特長は、従来どおりのスタイリッシュでコンパクトなデザイン、高い静粛性などさまざまあるが、最注目ポイントは、やはり「ハイブリッド」だということだろう。

従来のV2Hにおいては、太陽光で発電された直流(DC)の電力はすべて、家電製品で使用するため、また売電するためパワーコンディショナを介して交流(AC)の電力に変換され、そしてEVに充電するために再び直流へ変換するという複雑な工程が必要だった。こうした度重なる変換は電力ロスも発生させて、経済的にもエネルギー的にももったいない状況を生み出していたという。

画像: 従来の単機能でのV2Xシステムでは、太陽光で発電した電力をEV充電に使用するには、二度の交直流変換が必要であった。

従来の単機能でのV2Xシステムでは、太陽光で発電した電力をEV充電に使用するには、二度の交直流変換が必要であった。

そこで今回の「ハイブリッドV2Xシステム」においては、太陽光パネルで発電された電力は直流のまま電動車のバッテリーに充電、家庭で使用する分は交流に変換するという2系統の充放電方式を実現。これにより、家庭での電力消費量が少ないときは積極的に電動車へ充電し、発電量が少ないときには電動車から放電して買電量を抑えられるという、より効率的な電力の運用が可能となっている。

画像: 新発売となるハイブリッドV2Xシステムでは、太陽光発電した電力を直流・交流の変換なしでEVに充てることができ、エネルギー効率が上昇する。

新発売となるハイブリッドV2Xシステムでは、太陽光発電した電力を直流・交流の変換なしでEVに充てることができ、エネルギー効率が上昇する。

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