2011年5月、フルモデルチェンジされた5代目フォード エクスプローラーが日本に上陸した。エクスプローラーは時代の要求に応えて北米市場でベストセラーとなってきていたが、5代目では従来のラダーフレーム構造からFF乗用車ベースのモノコック構造に変更されるなど、大胆な進化を遂げていた。ここでは城力間もなく行われた国内試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年8月号より)

すべてを語り尽くすことはできないほどの進化

「6年ぶりに新しくなったフォード エクスプローラー」。こう書くことは簡単だが、その変わり様をここですべて表記することは難しい。今月号でその試乗記に与えられたこのスペースだけでは、とてもではないが魅力のすべてを語り尽くすことはできない。それほど、注目すべきポイントは多い。

まずは外観。モダンなデザインのグリルやヘッドライト、消費電力の少ないLEDを採用したストップランプなど、新型は従来の優等生的なものから一変、ワイルドな雰囲気を全身から放っている。ちなみにボディサイズは、全長5020×全幅2000×全高1805mmと従来モデル比、全長プラス90mm、全幅プラス30mm、全高マイナス30mmと長く広く低くなった。

インテリアは、随所にクオリティの高さが感じられる。とくにレザーの使い方が上手い。触り心地もとてもよく、素材に選び抜かれた上質なものが使われていることがわかる。

さらに特筆すべきは、MY Ford Touch(マイフォードタッチ)だろう。この画期的なドライバーコネクテッドシステムは、新型から採用された。リンカーンMKXにも同じ技術が使われているこのシステムは、8インチのタッチ式大型ディスプレイとステアリングに用意されたスイッチでオーディオ、エアコン、携帯電話などの設定と操作ができるというもの。またメーターの左右にも4.2インチのディスプレイが用意され、さまざまな情報が表示できるようになっている。最初は機能が多くて使い切れない、とも思ったが、それも慣れるまでのこと。少ししたらマニュアルも見ていないのに自然に手が動いていた。つまり、直感的に操作できるということなのだ。

パワートレーンには、新開発の3.5L V6エンジンと6速ATを組み合わせている。このエンジンは、吸排気に可変バルブタイミング機構を採用して従来のV8と同等の出力を発揮しながらも、減速時の燃料を遮断するシステムの導入などにより燃費を約20%改善という効率を重視したものである。

また、従来から3列シートを採用しているエクスプローラーだが、その使い勝手はさらに向上した。とくにLIMITEDは、パワーテールゲートとともにラゲッジルームに用意されるスイッチひとつで楽々とアレンジできる電動の3列目シートが標準装備された。このシートアレンジの動きは感動もので、はじめて操作したときは「おおっ」とつい声をあげてしまったほどだ。この動きはいろいろな人に見せたくなる。

ぜひ実際に自分の目で見て確かめてほしい。そしてオーナーになった幸せな人はかならずこの電動シートアレンジの便利さを実感できるはずである。

画像: 伝統のラダーフレームから高剛性なモノコックへとボディ構造を一新した。これにより軽量化とNVH性能の向上を果たし、プレミアムSUVに相応しい静粛性を手に入れた。

伝統のラダーフレームから高剛性なモノコックへとボディ構造を一新した。これにより軽量化とNVH性能の向上を果たし、プレミアムSUVに相応しい静粛性を手に入れた。

新たにテレインマネージメントシステムも採用

そろそろ走り出そう。従来よりも軽量化されているがそれでも2トン超ある5代目エクスプローラーのボディを前へ運んでいくV6エンジンは、有り余る力強さを感じることこそない。しかし、過不足ないパワーフィールは好ましく、不満を感じる場面はなかった。

事実、従来のV8モデルとの比較でも、車重は2230kg→2170kgとマイナス60kgに対して最高出力は296ps→294psとマイナス2psなのでパフォーマンスアップと言える。

走り出すとすぐに高い静粛性を確認できる。NVH性能はかなり向上しているようだ。この静粛性にLIMITEDはフロントとフロント左右ガラスに採用した「ound Screen」は外部からの音の侵入を防ぐ役目をしている。

クルージングしていると剛性の高さが感じられる。これはボディ構造が従来のラダーフレームからモノコックに変わったことが大きく影響している。そして走りは、ワインディングに入っても終始安定、ロールが抑えられ車体が安定していて安心感は強い。

この安定した走りの実現には、世界初採用の「カーブコントロール」が貢献している。これはオーバースピード時にエンジンの出力を自動的に絞り、ABSを効かせ4輪を制御、車両の挙動をコントロールするというものだ。

オフロードコースに入れて4WD性能もテストした。エクスプローラーは、もともと高いオフロード走破性を持っているが、新たにテレインマネージメントシステムも採用、それにさらに磨きがかけられた。操作方法も簡単、NORMAL/SNOW/SAND/MUD&RUTSの4つの走行モードからダイヤルで選ぶだけだ。また、ヒルディセントコントロールも用意され状況に応じた最適な走りが楽しめる。

こうした劇的進化を遂げたエクスプローラーだが、唯一の弱点はナビを搭載していないこと。本国仕様には秀逸なナビが採用されており、「そのままでいいから導入して欲しい」という声もある。もちろん、フォードジャパンもそこは十分に認識していて、対応を急いでいるということだ。

最後に、このエクスプローラーは、さらなる環境対応エンジン2L直噴ターボの「エコブースト」搭載モデルの日本導入もアナウンスされた。これも大いに注目すべき1台である。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充)

画像: 高効率を徹底した新開発の3.5L V6エンジンは、従来の4.6L V8と同等のパワー&トルクを発揮しながら約20%の燃費を向上させている。横置き搭載される。

高効率を徹底した新開発の3.5L V6エンジンは、従来の4.6L V8と同等のパワー&トルクを発揮しながら約20%の燃費を向上させている。横置き搭載される。

フォード エクスプローラー リミテッド 主要諸元

●全長×全幅×全高:5020×2000×1805mm
●ホイールベース:2860mm 
●車両重量:2170kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3495cc
●最高出力:216kW(294ps)/6500rpm
●最大トルク:345Nm(35.2kgm)/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD 
●車両価格(税込み):530万円(2011年当時)

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