専用のフットワークで身のこなしは快適だ

街中での使用が中心なら低回転域のトルクの出方が自然なGグレードのほうがベターチョイスかもしれない。
さて、走り出してみよう。確かにターボによる出足は鋭い。太いトルクが2600rpmという低い領域から出ているので出足から力強いし、高回転の伸びもなかなかのものだ。期待の静粛性はそれほどでもなく、エンジンサウンドやロードノイズとももう少し抑えて欲しいとは思えたが、フロントにスタビライザーが入っているお陰でレーンチェンジやコーナリングでの姿勢変化が少ない。
しかも試乗車のプレミアムツアラー Lパッケージはシリーズ唯一の15インチタイヤを装着し、足まわりも専用チューンなだけあって、ステアリングホイールに伝わって来る接地感もより明確で安心感が大きく、身のこなしも軽快になっている。高速や山道など遠出をするオーナーならこれを選ぶのが正解だろう。
一方、街中を中心に買い物グルマとして使うなら、ベースのGグレードがベターチョイスだ。確かにターボのような俊足は期待できないが、低回転域のトルクの出方がより自然なので、入り組んだ細い道をちょこまかと走る時にはこちらのアクセルの方が扱いやすい。ターボだと少し時間差が出てギクシャクする傾向があった。
それに総合的な動力性能も今や自然吸気でも十分といえるだろう。高速で流れに乗っていてもアクセルペダルの踏み込みにまだ余裕がある。もっともこれはN-ONEに限ったことではなく、最近の軽の自然吸気エンジンすべてに言えることではあるのだが。
軽自動車の世界で堂々と「プレミアム」を主張したN-ONEの功績は大きいだろう。この路線、今後はライバルメーカーたちも追従して伸びて行くことは間違いないと予想できる。

ホンダの新世代エンジンとなるS07A型は久々に4バルブDOHCを採用し、ロングストロークとしてトルクを重視している。
ホンダ N-ONEプレミアムツアラー Lパッケージ<G Lパッケージ> 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1610mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:870kg<840>
●エンジン:直3 DOHCターボ<直3 DOHC>
●総排気量:658cc
●最高出力:47kW(64ps)/6000rpm<43(58)/7300>
●最大トルク:104Nm(10.6kgm)/2600rpm<65(6.6)/3500>
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・35L
●JC08モード燃費:21.4km/L<27.0>
●タイヤサイズ:165/55R15<155/65R14>
●当時の車両価格(税込):153万円<124万円>