ソルベルグが感涙の初優勝、トヨタは今季7勝目、WRC100勝を達成
圧巻だったのは他の上位勢とほぼ同様の路面コンディションの中で走ることになった土曜日のパフォーマンスだ。スタート順のアドバンテージがなくなったことで、さすがにタナックやヌービルなどのチャンピオン経験者に伍することは厳しいのではという予測を覆し、ソルベルグは午前中のSS9〜SS11で3連続ベストをマーク。午後はしっかりとペースをコントロールしながらSS15でベストタイムを叩き出し、その差を21.1秒まで広げて見せたのだ。

2022年までにヒョンデで12回トップカテゴリー車両でWRCに出場したが、13回目の今回ついに初表彰台を獲得。父ペター・ソルベルグと親子2代でのWRC優勝を達成した。
前日からのドライコンディションから一転、雨模様となった最終日の日曜日もソルベルグは盤石だった。初優勝のプレッシャーなどまったく感じさせず、SS18、SS19と連続ベストをマーク。最終パワーステージこそ3番手だったが、最終的にはタナックとの差を25.2秒に広げてトヨタにとってもWRC通算100勝目となる大殊勲のラリーフィニッシュに飛び込んだ。
一度はヒョンデに“トップカテゴリーは時期尚早”の烙印を押されながら、ラリー2で着実に経験を積み重ね、自らのポテンシャルを証明したソルベルグ。ステージ終了後に父のペター・ソルベルグら家族と抱き合い、「何度も何度も挑戦して、何度も何度も夢見た。そしてついにやったんだ。トヨタ、そして乗りやすいクルマに仕上げてくれたテストチームには本当に感謝したい」と喜びの涙を流した。
一方、まさかの伏兵に地元優勝を阻まれた格好のタナックは「今回のオリバーは素晴らしかった。彼こそが勝者に相応しい」と脱帽。自身は総合順位、日曜日単独順位、パワーステージ順位でいずれもエバンスを上回ったことで、シーズン8戦目にしてわずか1点差ながらドライバーズ選手権のポイントリーダーに立つことになった。

母国優勝こそならなかったが、2位に入り、ドライバーズ選手権のでトップに立ったヒョンデのオィット・タナック。