“1周目”の逆転劇、ピアストリがレースの主導権を握る
ウェットコンディションとなり、セーフティカー先導でグリッドを離れたものの1周を周り切らないうちに赤旗。1時間半の中断を経て、再びセーフティカー先導でスタートしたレースは、5周目からようやく戦闘開始となった。

スタート直前に視界不良のため赤旗が提示され、約1時間の中断を経てセーフティカー先導で5周目からレースはスタート。全車がインターミディエイトタイヤ(浅溝雨用)を履く中、いきなりピアストリがノリスに襲いかかる。
そしてその注目の“ファーストラップ”、ターン1の立ち上がりでポールシッターのノリスの加速が鈍ったのを、チームメイトのピアストリは見逃さなかった。続くオー・ルージュを限界ギリギリで駆け上がって、スリップストリームに入るとケメル・ストレートで楽々とオーバーテイク。ノリスに「何もできなかった」と言わしめた切れ味で、レースの主導権を奪った。
両車は僅差のまま3番手のルクレール以下を引き離し、またも優勝争いはマクラーレン勢同士の一騎打ちに。そして次の勝負どころはドライタイヤの交換時にやってきた。

2番グリッドからスタートしたピアストリが、オー・ルージュからケメル・ストレートでノリスをオーバーテイク。いきなりレースの主導権を奪う。
ミディアムタイヤのピアストリがハードのノリスの追撃を振り切る
13周目、まず先頭のピアストリがミディアムタイヤに交換。しかしダブルピットストップでのタイムロスを嫌ったマクラーレンはノリスのピットインを1周遅らせる。これが予想以上に悪手だった。

優勝したピアストリ(右)と2位のノリス。3戦連続1-2フィニッシュとなったマクラーレンだが、平穏な結果ではなく、チームメイトでタイヤ戦略が異なる激しい戦いだった。
1周の間にピアストリは新品ミディアムでハイペースで飛ばし、ノリスとの差は8秒以上になる計算に。ノリスは終盤での逆転を期し、ピットでハードを選択する。そしてその目論見通り、ノリスは残り5周を切った時点から猛然と差を詰めたものの、ピアストリも冷静にペースをコントロール。チームメイトの接近を許さないままチェッカーフラッグとなった。
これでシーズン6勝目となったピアストリは、「昨日(のスプリントで)は悔しい思いをしたから、今日は1周目が勝負だと思っていた。うまく攻めることができた」とレース後に会心のコメント。
一方、3連勝はならなかったノリスは「ハードで追い上げられるかと思ったけど、いくつかミスもあってダメだった。あまり言うべきことのないレースだったかな」と言葉少な。これでドライバーズ選手権での首位ピアストリと2番手ノリスとの差は16点に広がった。