復活ロバンペラ、悲願の地元フィンランド初勝利
ロバンペラが、過去勝利のなかった母国フィンランドでのホームラリーをついに制覇した。
2022年&23年王者のロバンペラは今シーズンから採用されたハンコックタイヤとの相性が悪く、ここまで優勝はターマック(舗装路)戦カナリア諸島での1勝のみ。得意のはずのグラベル(未舗装路)戦で精彩を欠いていたが、今回はひと味違った。
選手権上位のオィット・タナック(ヒョンデ)、エバンス、オジェがグラベルの掃除役に苦しんだ金曜日、SS2で首位に立ったロバンペラは、その後4回のベストタイムをマークして主導権をキープ。2番手ティエリー・ヌーヴィルとの差4.9秒で迎えた土曜日も、午前中の4SS中3SSでベストタイムをマークしてリードを広げると、午後のヒョンデ勢のトラブルで大量リードを築くことに。最終日に設定された名物ステージ「オウニンポウヤ」での2SSも無事にこなしてシーズン2勝目を達成した。
悲願とも言えるホームウィンを達成したロバンペラは、「何度もあと一歩まで迫ってなかなか勝てなかったけど、ようやくホームウィンを実現できた。今年は、とくに勝ちたかったから、ちょっとハードに攻めた。いいクルマを用意してくれたワークショップのみんなに感謝したい」と笑顔を見せた。

カッレ・ロバンペラ(トヨタ)はSS2で首位に立つと、そのままラリーをリード。スーパーサンデーも制して、シーズン2勝目をあげた。トヨタは今季8勝目。
悪夢が相次いだヒョンデ勢、勝田が第2戦以来の表彰台
一方、木曜夕刻のSS1を順調に1-2スタートしたヒョンデ勢はまさかのトラブルに見舞われた。
まず、SS1でベストタイムだった選手権リーダーのタナックが金曜にグラベル掃除役に苦しんで失速した挙句、午後のSS7でコースアウト、木に激突してしまう。さらにステージフィニッシュ後のタイムコントロールでは、ダメージを負ったラジエターを気にするあまり、タイヤをチェックするマーシャルに気がつかずにi20Nを発進させる失態。マーシャルに接触して擦り傷を負わせたことで5分ものタイムペナルティ(+執行猶予付きで35点の選手権ポイント剥奪)を課されてしまったのだ。
それでもヌーヴィルとアドリアン・フルモーは堅調で、雨模様となった土曜日には勝田を引き離して2、3番手をキープしていたが、午後のSS16で悪夢が待っていた。なんと2台ともステージ中盤の同じ岩に接触して右フロントタイヤをパンク。大きくタイムロスして順位を落としてしまったのだ。
これで2番手には勝田、3番手にオジェが浮上。勝田は僅差で追うオジェを土曜日の残りSSと日曜日の2SSで見事に抑えてフィニッシュ。第2戦スウェーデン以来となる2位、ここ数戦の不振を振り払う表彰台となった勝田は「この結果を長いこと待ち望んでました。(第2の故郷である)フィンランドで表彰台に上がれたのは嬉しい」と、こちらも親友ロバンペラと同様の笑顔を見せた。
ドライバーズ選手権では、4位に入ったエバンスが選手権リーダーの座を奪回(176点)。日曜単独順位、パワーステージも1位でフルポイントを稼いだロバンペラが3点差の2番手に浮上、タナックはオジェと同点の3番手(163点)に後退した。一方、マニュファクチャラーズ選手権ではトヨタがヒョンデとの差を87点とし、大きなリードを築くことになった。

1位から5位を独占する歴史的勝利をあげたトヨタ。フィンランドにヘッドクォーターを置くトヨタラリーチーム(TGR-WRT)にとって、このラリーはホームイベントであり、意味深い勝利となった。
次戦第10戦ラリー・パラグアイは8月28日から31日、パラグアイ南東部のエンカルナシオンを起点としたグラベル(未舗装路)で開催される。ラリー・パラグアイはWRCとして初開催となる。(文:新村いつき)